2014年1月12日日曜日

カネがナル姿

k-n音の日本語…


「カード64k-n
 


 
 

カンカン、カネが なる
12月と いえば クリスマスで、教会の カネが 鳴り ひびきます。そして1231日、こんどは お寺 から 除夜の カネが きこえて きます。この カネを きいて、ふるい1年がおわり、あらたな 1年が はじまる ことを カラダで感 じる ことに なります。

ところで、カネの オトって どんな 音で しょうか?寺の カネ なら カーン・ゴーン。消防車・救急車の カネ なら カンカン・ガンガン。のど自慢の カネ なら カーン(?)どうやら、日本人の には、k-n音に きこえる よう です。

それでは、外国人の 耳には どう きこえる ので しょうか?漢語(中国語)では [当当]dangdang[丁丁]dingdingなど、つまりt-k音の 感覚で ききとって いる ようです。英語では、カネの ことを ベルbell よび、ベルが ナル音はding-dong きこえて いる ようです。つまり、漢語と おなじ t-k音の 感覚です。

おなじ カネの 音が、民族語の 音韻感覚に よって それぞれ 独特の 語音で 表現されています。日本人の 耳に k-n音で きこえる ものが、漢語や 英語の 世界では t-k音に きこえると いう のは ナゼで しょうか?フシギと いえば、フシギ です。

日本語の ばあい、カネkane k-n音語。「カネが ナル 音」だから、カーン・ゴーンときこえるので しょうか?

カーン・ゴーンと きこえる から、カネと よぶ ので しょうか?

それとも、名詞 カネと 擬声語 カーン・ゴーンとは もともと 無関係の コトバで、たまたまk-n音に なった だけ、という ことで しょうか?

話が ややこしく なって きました。いちど 頭を ひやして、ちがった 角度 から 考えなおして みましょう。

 

k-n音の日本語
日本語の 語彙体系の 中で  見た ばあい、k-n音の コトバは 少数派の ようです。

k-音で はじまる 上代 2音節 動詞は、カク・キク・クク・コクをはじめ、カス・キス・ケス・コス・カツ・クツ・ケツ・カヌ・カフ・キフ・クフ・コフ・カム・クム・コム・カユ・キユ・クユ・コユ・カル・キル・クル・コル など 多数 あります。

しかし、そのうち k-nタイプの 動詞と いえば、カヌ[](下二) 1 しか ありません。辞典には もうひとつ カヌ[不勝・不得](下二) あげて いますが、補助動詞として つかわれる だけ。もともと カヌ[] 同源で、その 特殊な 意味用法と 考える ことも できそう です。

k-n音の 2音節 名詞 には、カナ[金・鉋]・カニ[]・カネ[金・鐘]・キヌ[衣・絹]・キネ[杵・木根]・クニ[]・コナ[粉・子等] などが ありますが、語彙数と しては、やはり 少数です。

動詞・名詞 以外 にも、いくつか k-n音の コトバが あります。ガニ(助詞。推量・希望)、カノ[彼・他](連体詞)、ケニ[](副詞)など。

すくない 語彙資料を 総ざらえ して、k-n音語の 共通基本義を さぐって みましょう。

その 方法論と して、①まず「k-n音日本語は 動詞 カヌ[] 中心に 構成された 単語家族で ある」と 認定 (仮説設定)する。②k-n音語 全般に わたって 意味用法を しらべ、その中から 共通基本義を えらびだす。③その 共通基本義を もういちど 個々の k-n音語に適用して 仮説を 検証する。いちおう、そう いった 手順を 考えて います。

ひとくちで「k-n音語の 共通基本義」と いいましたが、じっさい には いろいろな 問題を ふくんで います。「k-n 日本語の 実態を さぐる のに、外国語のk-n音を もちこむのは マチガイだ」という 見方も ある でしょう。ぎゃくに、「日本列島が 人類発祥の 地で ない かぎり、ヤマト民族・ヤマトコトバは もともと 外来の 民、外来の コトバで ある」という 見方も ある でしょう。

コトバの 意味は、特定個人の スキ・キライで きまる もの では ありません。民族・国家・地域 など、規模の 大小は ありますが、その 社会一般の 人たちに 通じる もの という 範囲で「コトバの 意味」が きまって くる はず です。

コトバは イキモノです。音形も 意味用法も、時間・空間と ともに 変化する 可能性が あります。K-n 日本語の 基本義を 考える ばあい にも、時代別・地域別に 見られる 変化に 注目する だけで なく、その 変化を こえて 共通する 基本的な 姿を つかみとる ように したい もの です。さらに いえば、漢語・英語など 外国語のk-n音に ついても、「人類語の k-n音」と して 共通基本義を たずねる 姿勢が 必要だと 思います・

 

k-n音語の ひろがり
ヤマトコトバの 原則に したがって いえば、k-n音語の 基本義は k-音と n-音が もつ 基本義の 連合」と いう ことに なる でしょう。具体的には、「AB つなぐ。カネル[]」、「クネクネ まがり クネッテ、つながる」、「コナゴナに なる まで コナス」などの 姿です。

カヌ[]が「AB つなぐ。カネル[]」姿 である ことは たしか ですが、この カヌ[] カナ[]・カネ[金・鐘]・カナフ[]・カナヅ[] などの 語音と どんな 関係に ある のか、きわめて ビミョウな ところ です。以下、わたしの 仮説を のべます。

カネ[]は、カネ・カナもので できて おり、キ[] ツクと カン・ガン・コン・ゴンと音が ナル[成・鳴] もの。カネ[] シュモク[撞木] カネアイ[兼合]で、音色が きまります。そこで、名詞 カネ[] もと 動詞 カヌ[](下ニ) 未然形・連用形 であり、やがて そのまま 名詞形(カネルもの)と なった ことが 考えられます。動詞ハヌ[] から名詞ハネ[撥・羽根] 派生する のと おなじ 原理 です。

おなじく、キネ[]は、ウス[] 中の 食材を つきくだき、コナゴナに なる まで コナス 道具。

キヌ[] キヌ[]は、ともに キが 甲類の カナで、同源の語と されて います。キヌ[]は、カイコの マユ から とった 糸。または その 糸で 織った 布。イズミ仮説 では、動詞カヌ[] ならべて 動詞キヌ 設定します。「カイコが マユを キル[] 姿 です。この ばあい、動詞形と 名詞形が まったく 同音の まま なります。日漢英を 問わず、よく 見られる 現象 です。

語音 キヌkinu キルkiru おなじ 事物の姿を 表わす のは、n-r-との 子音交替による 考えて よい でしょう。イナニ[稲荷] イナリ 変化する のと おなじ 現象 です。

カナフ[]は、「カナ[金・鐘] [生・言]」もしくは「カネ[金・鐘・兼] アフ[]」か。カネ[] シュモク[撞木] カネアフ[兼合] ことで、ようやく カネが ナル 姿です。

カナヅ[]は、もと カナヅ[金出]か?カネを 打つて、音を 出す 姿。

ガニ(助詞。推量、希望)は、自分の 心中の 思いと 現実が カネアウ(一致する) ことを 願う コトバ です。   ⇔ガンngiuanyuancangno-(to know) =カナウ[]

クナク[]は、男と 女が 身を クネらせて ツナガル 姿。

クニ[]は、クネクネ・クネリ ながら ツナガル・ツラナル 地域。

 

カヌと カムとの 関係 など
さきほど、キヌ[衣・絹] ついて「キル[]との n-, r- 子音交替」と 指摘しましたが、そこまで つっこんで 考えると なれば、カヌに ついても「カム[]との n-, m- 子音交替」説も 出て きます。
「脱線するな」と しかられ そう ですが、日本語の 実態を さぐる には 避けて とおれない 問題点が ふくまれて います。次回 あらためて とりあげる ことに します。
 

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