2014年7月10日木曜日

夏休みの お知らせ


前号まで 3回に わたって、「アユの 」を とりあげて きましたが、実は 教育・文芸とやま」第20号 応募原稿の 資料集め のための 作業でした。

このあと、応募規定に あわせて 原稿作成を すすめます。提出期限は 8月22日ですが、できれば7月末 までに 完成したいと 考えて います。

「教育・文芸とやま」への 投稿は 10回 以上 つづけて いる ので、要領は ほぼ わかって いる つもり ですが、94歳とも なると 心身 とも 活動が にぶく なって きます。

「辞典や 資料の ちいさな 字が 読めない」

「自分が 書いた メモの 字が 読みとれない (たまには、まともな 書体で書 ける こともありますが)

そこで、原稿下書きの 段階では、すべて パソコン (ワード) すませて います。たいへん 便利で 助かって いますが、パソコンの 世界は 日進月歩。トシヨリ には うまく ついて ゆけません。その ザセツ感を のりこえる のに、数日間 のたうち回る ことも あります。
そんな こと、こんな こと、いろいろ あって、この ブログ 8月末 まで「夏休み」とさせて いただく ことに しました。9月 には、また あらたな テーマを とりあげる 予定です。なにとぞ よろしく お願い 申し あげます。

2014年7月3日木曜日

「アユの 風」を 考える③ 

 
 
[夜]の 銅器銘文
 
 
[]の甲骨文 
 
 
[]の銅器銘文 
 
 
[] の銅器銘文 
 
 
 
 


母音が 子音化する とき
日本語の 母音 アイウエオは、単独で 直接 事物の 姿を 表わす ことが すくない よう ですが、口形の ちがい(a : e : i : o : u)が 意味の ちがいと 連動する 例が 見られます。ここでは、ヤ・イ・ユ・エ・ヨに ついて、その 音形と 意味の 関係を 考えて みます。

[] y- + a 構造で、「y-する もの」、「ユク もの=ヤ[]」の 意味と なる。*i 口形 から a 口形へ 極端に 移行する 語音。

[斎・忌・射・息]  y- + i 構造で、「y-する こと」の 意味と なる。「イク[生・活・行]」「イキ[生・息]」「イフ[]「イル[射・入・容]」の「イ」。ユミ[] [] イル[]姿。*口を 一文字に ひきしぼって 発声する 母音。

[湯・斎・弓]  y- + u 構造で、「y-する」、「矢・弓・湯で イム・イタメル]」の 意。*ウ[]・ク[]・ス[] などの 単音節 動詞は 成立して いるが、動詞 ユは 成立していない。また、動詞 基本形の 語尾 母音は -u されて いるが、英語や 漢語の -u音ほど には 口を すぼめない。むしろ、母音 ゼロに ちかい。

[枝・柄・江]  もと y- + e 構造で、ヤの 交替音と 考えて よい。ユク もの=ヤ[] 姿。エ[]は、水面が 陸地に イリコム 姿。つまり「エダ[] イダス[射出]」、「エ[] つける」姿。

[夜・節・世・代]  y- +o 構造で、ヤ[] 交替音と 考えて よい。1本の矢=竹の1節=人の1代。ヨル[] ヒルと ヒルを クギル 節目。また、太陽・ヒト・トリ・ケモノが ヨル[寄・依・縒]・ヤスム 時間帯。

 

動詞語尾母音の 役割
日本語の 動詞は 上代語の 段階で、四段活用を はじめ 8種類に 分類されて います。いずれの 動詞にも 未然・連用・終止・連体・已然・命令の 活用形が ありますが、それぞれの 語尾母音に a, i, u, e, o5段の どれが 表われるか よって、四段活用・下二段活用など 区分される わけ です。ここでは、四段活用動詞の 語尾母音a, i, u, 役割に ついて 考えて みます。たとえば 2音節動詞 カツ[勝・搗]、サク[裂・割] ばあい、こう なります

カツ[勝・搗] (動詞 基本形) : カタ[](カツ もの。鋳型 など) : カチ[勝・搗・徒歩](カツ こと)

サク[裂・割](動詞 基本形): サカ[](サケル 地形) : サキ[裂・先](サク こと。その先)

つまり、動詞語尾 母音-u -a するか、 i するか よって、「~する もの」か、「~する こと」かを 意味する 新語が 派生する わけ です。

ついでに いえば、この種の 造語法は 日本語(ヤマトコトバ) だけで なく、英語でも 普通に 見られる 方法です。たとえば;

cut(カットする)  :  cutter(カットする もの)  :  cutting(カットする こと)

make(つくる)  :  maker(つくる )  :  making(つくる こと)

しかし漢語では、上古漢語 以来 音節の 構造がCVC型に 限定されて いた ことも あり、このような 造語法は 成立して いません。 たとえば;

カツkatge(わる。さく。きる) →割断・勝愛・割腹・分割。

サクtsakzuo4(つくる。なす。なる。刀で 素材に 切れ目を いれる さま)  →作文・作用・作成・作業。

ごらんの とおりで、動詞としての 用法が 中心と いえる でしょう。ただし「~する こと」という 名詞用法と 見られる 例も しばしば あります。品詞別用法を 区別する 以前の 段階、あるいは おなじ音形でも、 文脈の中で ひとりでに 判別できる から という感覚 かも しれません。

さて、さきほどの カツ[勝・搗]  : カタ[] : カチ[勝・搗・徒歩]cut : cutter : cuttingなどの 造語法に ならって アヤ・アユ・アユムを 整理できると よい  のですが、そう うまい ぐあいには まいりません。動詞 アユ[零・肖] 下二段 活用 なので、未然形・連用形とも 語尾母音が 同音の-e なり、-a- –iとの 対立関係からの 説明が できない から です。それでも、aya ayuとの 母音対立 について、「ayuする ものが aya」と 解釈したり、「ayu []は、動詞ayu[零・肖] 名詞用法」と  解釈する ことは できます。

四段活用の 動詞 アユム[] ついては、「アユ[零・肖・鮎]+ム[]」の 構造で、「アシを ユミなりに 曲げ、ヤ[]をイル[] ように ユカセル[] 姿と 解釈できます。アユミは、動詞 アユムの 連用形 であり、現在分詞の 役割も 果たしながら、名詞と しても 通用して います。同義語にカチ[徒歩] アルキ[] あります。いずれも 四段活用動詞 連用形 出身で、おなじ 発想法に よって 生まれた コトバと 考えられます。

 

拗音が もたらす「意味」
ヤ・ユ・ヨ など、いわゆる 拗音が いつ・どうして 生まれ、
どんな「意味」を もたらすことに なった のか、考えて みま
す。

母音 イを 発声し ながら 他の 母音 ア・ウ・オを 発声すると、ヤ・ユ・ヨと なります。これを ヤ行拗音と よびます。もう一つ、母音 ウから ア・イ・エ・オに 移行する ときに 生まれる ワ行拗音 (ヮ・ヰ・ヱ・ヲ) ありますが、ここでは ヤ行拗音を 中心に 考えて います。

ヤ・ユ・ヨを 発声する には、イの 口形 から ア・ウ・オの 口形に 移行する ことに なります。その 時、発声器官(口・舌・ノド・ハナなど)に ヨジレル 感覚 (ヤル・ユク・ユガム・ユスル・ユレル・ヨジル など) うまれます。この 感覚が、その 語音の「意味」に 反映される ことに なります。

 

漢語の 拗音
ここまで ヤマトコトバの ヤ行拗音に ついて考えて きました。ついでに、漢語や 英語の世界では どう なって いるか、参考までに しらべて みようと 思います。

音声の 面から みて、アヤ・アユ・アユム などに ピタリ 対応し そうな 漢語音は、まだ見つかって いません。日本漢字音で ヤ・ユ・ヨの 音を もつ 漢字が たくさん あります。手あたり 次第に ひろって みました。その 中間報告と して、メモして みました。発音に ついては、上古音・漢字・現代音の 順に 表記。ただし、印刷の 都合なども あり、正確さは 不十分。あくまで、ご参考までと いう こと です。

[也・冶・夜・邪・野・射]
 
diagye3 助、なり。や。

diagye3 鉱物を 溶かして 細工する。*ム印は、曲がった 棒で つくった スキの 形。河川の 水路を 修正(治水)する ように、鉱物を 溶かして 細工する。⇔ヤク[焼・矢來]

diagye4 よる。*昼の 両ワキに ある 暗い時間。エキ  [腋・掖] 同系。

ngiagye2 助。や。か。(疑問)。よこしま。*食い違った 組木の かみあう さま。⇔イガム・ユガム。

diagye3 野原。*横に 引きずる 姿。矢が 伸び行く 姿。

diag射①she4、②ye4  ①射る。②官名。*張った 弓の 弦を 放して、緊張を 解く こと。シャ[赦・捨] 同系。*[] 漢字音は シャ・ジャ・の ほかに ヤク ある。ヤマトコトバの 感覚で、それぞれ []・ヤク[矢來] 解釈する ことも できる。

[衣・夷・医]

 ・eryi1 ころも。*肌を イレル[入・容] もの。

  dieryi2 えびす。ひくい。平らに する。*イ[]・テイ
    
[弟・低] 同系。

  iegyi1 いやす。 *①矢をイレ、シコリを とりのぞ
   
く。②矢の イレモノ(容器)

[由・油・兪・愈・愉・癒・輸・諭・遊]

 diogyou2 よる。より。よし。*酒や 汁を ぬき出す 口の ついた つぼを 描いた

形モジ。チュウ抽・テキ[]・ヂク[]などと 同系。「イデ[] ユク[]」姿。

diogyou2 あぶら。*ユ[] 同系

diugyu2 いよいよ。*ハモノで 木を くりぬいた 丸木船。「(矢。ハモノ) ユク「行」」姿。

diugyu2 いよいよ。*ハモノで 木を くりぬき、船を つくる。

diugyu2 たのしむ。*心中の シコリを とりのぞく。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                
  diugyu4 いえる。*からだの 病気が 消え去る。

thiugshu うつす。いたす。まける。*ある 所の 品を そっくり ぬき出して 車で 運ぶ 姿。トウ[] (ぬすむ)と 同系。

diugyu3 さとる。さとす。*疑念や しこりを えぐりとる

diogyou2 およぐ。あそぶ。あそばす。*水上に ゆらゆら 浮かび、固定 せぬ こと。      *子どもが 吹き流しの ように、ぶらぶら ゆらゆら 歩きまわる こと。

[予・余] 

diagyu3,2,4  与える。われ。預かる。預ける。*織機の [] (横糸を 押しやる 道具) 姿。

 diagyu2 われ。あまり。あまる。*スコップで 土を 押し広げる さま。ヨ[]・ジョ[]・シャ[] 同系。

 

英語の 拗音
英語の 拗音に ついては、あまり くわしく しらべる 時間が ありません でした。おそまつ ですが、アヤ・アユ・アユムと いう 音形 から 連想できた 英語音に ついて ご報告させて いただきます。

 

arrowは、ヤガラ[矢柄]
[] ことを 英語で arrow いいます。ar- + row 構造です から、「ヤガラ[矢柄]」と 解釈した ほうが 基本義に ちかい かも しれません。Ar- ヤジリの 部分で、-rowがエ[] 部分を さす コトバ でしょう。ヤジリは 漢字で「矢のシリ[]」と 表記されることが ありますが、矢の 機能と しては「矢の アタマ[]」です。ただし、飛び道具と しては [] 部分も 重要で、その 姿 からrowは動詞「舟をこぐ」、名詞「行。列」としても 通用して います。

apple ついても、ap-+-ple 構造で、「アフ[会・逢] もの」(=矢が 突き当たる=柄の先に 実が なる)などの 姿が 基本義かと 思われます。矢と 対象との デアヒ[出逢] よければ、うまくapply (対応する) できたと いう ことに なります。

Atom(原子) ついては、temple (寺院) ともに、語根tem-(to cut) からの 派生語と 解説されて います。カド・デッパリを ツミとって 丸く した 超微粒子 ですが、その 威力は 超強力です。ここで、「語根tem-(to cut) からの 派生語」と いう 指摘は 尊重すべき ですが、atom a- ついては どう 考えれば よい でしょうか?日本語の 動詞に アツ・アタル・アツムが あり、名詞に アテ・アト・アタマ・アツマリ などが あります。atom templeは、見るからに アタマの 姿 であり、とりわけatomはずばり ヤダマ[矢弾] 姿だ いって よい でしょう。

 

Europeは、夕日の国
この ブログの はじめに、「アユノ カゼ」を 漢字で [東風] 書いた 例を とりあげました。日本語の ヒガシは 漢語で トウ東dong なる わけ ですが、英語では east いいます。これをea+st 構造と みなし、「ヤ(矢・日光) スヂ(筋・条)アサヒ[朝日」の 姿と 解釈して みては どうでしょうか?Easter(復活祭), eastern(東方の) などと 同系の コトバ です。

そして ユーラシア大陸の 東部、いちばん 早く 朝日を むかえる 地域が Asia。つまり、「アサヒ[朝日] 国」と いう ことに なります。ぎゃくに、大陸の 西部、ひるま 天空をかけめぐって いた [矢・太陽] やがて 大地と ヨリソイ[寄添]ユフ[] (結婚する) 地域が Europe (夕日の ) です。そのとき、太陽と 大地が even(高さが おなじ) なる こと から、この時間帯が eve(ユフ[夕]), evening(ユフベ[夕) よばれる ことに なった ようです。

 

コトバの 化石 さがし「日本語と 漢語と 英語 では、もともと 言語の 系統が ちがう のだ から、音韻の 面で対応する はずが ない」、ずっと そう 思って いました。しかし、「そう とは 断定 できない」と 考える ように なりました。3言語の 相関関係は、比較資料が 不足で まだ 不明の まま です。相互に 無関係 だと 証明された わけ では ありません。

まだ ほんの 思いつき ていどの もの ばかり ですが、3言語 相互間の 交流を 暗示する言語材料は 案外 たくさん あります。気づく 人が すくない だけ です。わたしはこの種の言語材料を「コトバの 化石」と よんで います。

たとえば、アサ・アサヒ・アシタ などと Asia, east、ユフ[結]・ユフベ[夕]と eve, even, Europeなど、現代日本語・現代英語の 音感覚 から 比較して みても、as-, y-f, e-v などの 語音が 両言語に 共有されて いる ことに 気づきます。「偶然の 一致では ない だろう」、「言語交流の アシアト では ないか?」そこ から「トバの 化石 さがし」が はじまります。
いちど みんなで、 正面 から とりあげ、いろいろ ちがった 視点 から 論して みたら、いかが でしょう か? ひとりで やって いても 楽しい 作業 ですが、おおぜいで やれば 効率も あがるし、もっと もっと 楽しい 作業に なると 思います。ご意見を お待ち します。