2015年6月20日土曜日

日漢英の k-p音語を 比較する


『古事記』解釈の キーワード㉓

 


k-p 英語との 共通義を さぐる
 前回は、k-p音の 日本語(ヤマトコトバ)と 漢語を 比較し、双方に 共通する 基本義が あるか どうか、さぐって きました。おおまかな 結論として いえば、(k-p音など)共通の 語音構造 もつ コトバでは、言語の 系統や 民族・国籍などの チガイを こえて、共通の 音韻感覚 生まれて いる ことが 見えて きました。このことは、自分が 立てた 仮説象形言語説」から いえば 「しごく 当然」の ことに すぎない のですが、じっさいに 比較作業を やって みて、「ここまでの 対応関係 もって いた のか」と あらためて 気づかされる ことも ありました。

 さて 今回は、k-p 英語との 比較 です。英語は インド・ヨーロッパ語に 属する といわれて います から、こんどの 作業は 日漢のk-p インド・ヨーロッパ語の k-pとの 比較と いう ことにも なります。比較する 対照が 漢語 だろうと 英語 だろうと、k-p音語には それなりの 対応関係が 見られる はずだ と、自信を もっては いますが、まだ 公認されて いない 仮説です。はたして どこまで ゆける こと やら という 感じもあります。

 ダメで もともと、もし 日漢英の 共通基本義 らしき ものが 見つかれば 、それこそ モッケの サイワイ。すこし 気楽に 考える ことに して、ドン・キホーテの 行進 はじめます。

 

Cap, captainは、カブルもの
 まずは、現代日本語の 中に とけこんで しまって いるp-k 英語を ひろって みます。すぐに キャップcap・キャピタルcapital・キャプテンcaptain などが 連想 されます。日本語では、それぞれ ボウシ[帽子]・シュト[首都]・カシラ[頭]などと よんで いますが、[帽子]は「カブルもの」という 意味の 漢語。[首都]は、「人体で いえば クビ[首]に当たる 都市」という 意味の 漢語。クビが クヒ[杭]と おなじ 姿で、やがて クヒコム・カブルなどに 通じる k-p音語 ある ことは、まえに 指摘した とおり です。

英語cap, capital, captain などの 語音は、ヤマトコトバの カブ[株・頭]カブル[] などの 語音に 通じる ものが あり、意味用法の 面でも 共通点が 見られます。それで、いちはやく 日本語の 文脈に とけこむ ことが できた ものと 考えられます。

 

Coverは、カバフ もの
Cap, captainは、カブルもの」と いわれると、ナルホドと 思います。この 発想法を応用して 日本語のk-p音を 見なおして みると、「カハ[皮・革・河・川]は、生物や大地の カブリモノ」、「カヒガラ[貝殻]は、カヒ[] カブリモノ」と 解釈できる ことになります。漢語の カフkap なども、あきらかに「固い カラを カブル」姿で あり、カブ[株・頭]・カブト[甲・冑・兜]やcap 同族の コトバかと 思われます。

 Cap 頭に カブル・カブセル もの。いいかえれば、カバフ[庇]もの です。英語では cover いいます。同形の まま、動詞(カブセル・カバフ)と しても、名詞(カブセル・カバフ もの)と しても つかいます。さきほど、「カハは、カブル もの」と いいましたが、カブル・カブセル 姿は もともと「カハ[皮・革・側] カブセル」姿 であり、さらに いいかえれば カバー カブセテ カバフ 姿 です。ほら穴の caveなども、まわりを 土や 岩で coverされ、それだけ 災害や 外敵に たいする 安全性がkeepされて いる 場所と いう こと です。

 

Giveは、キフ[來経]・[級・給] 姿
 ギブ アンド テイク、ギブ アップ などの give いう コトバも、現代日本語の 中で かなり 定着して きました。ただし、この give いう 語音が どうして「あたえる・支給する」の 意味を 表わす ように なった のかと 考えて みても、すぐには うまく 説明が つきません。上代日本語で カフ[飼・養・替・買・易]キフ[來経]クフ[食・噛]コフ[恋・乞・請]コブ[] などの 動詞が 成立して いる ので、キフ[來経] 線で 解釈したい のですが、「経過する。来ては 去って行く」と いう だけ では、give 姿 見えて きません。キフ[來経]を「男と 女の ツキアイ(=give and take)の 経過」と 解釈して 議論を すすめたい ところ ですが、いま そこまでの 余裕が ありません。それは また つぎの 機会に ゆずります。ここでは、give 漢語 キフkiep給・級の 姿 見たてる ほうが 説明し やすいと 思います。もともと「織機に たて糸が セットして ある ところへ、適時 適切に よこ糸を クヒこませる」姿を あらわす コトバ であり、やがて「定期的に 給料を 支給する」、つまりgive(あたえる) 姿だと 考えれば、ナットク できるかと 思います。Giveされた(given)ものをgift (キフ[来経・級・給] された もの) よぶ のも、おなじ 発想法です。

 

IE語根と しての p-k
 あつい 季節に あまり かたくるしい 議論 ばかり ではと 考えて、すこし 気楽な 調子で、身近な 英語を とりあげ、日本語や 漢語の p-k音と 比較して みました。予期した 以上に つぎつぎp-k 英語が うかんで きて、日漢英 3言語 とも p-k音語の 基本義を 共有して いる ことに ついて 確信を ふかめました。

 ただし、これだけ では あまり 気楽 すぎて、ちっとも 学問的 でない、もっと まじめ やれと おしかりを うける かも しれません。そう いった ご指摘に こたえる ために、いつも どおり「インド・ヨーロッパ語の 語根と その 派生語」の 中から p-k 関連項目を ひろって みました。きっと ご参考に なると 思います(AHDフロク「IE語根と その 派生語」に よる。IE語根・基本義・派生語の 順に 記述。日本語訳 および *印以下の などは 引用者)。

 

Ghabh- (to give与える or receive受ける) give, forgive許す, gift贈り物, ableできる,   debt負債, due満期の, duty義務, endeavor努力する. *カブル・カブセル・カブリツク・カブリツカセル 姿。⇔キフ[來経・杵経]。キフ[給・級・急]。

Ghebh-eil- (head) gable切妻型, cephalic頭部の. *カブル・カブセル 姿。⇔カブ[頭・株]。

Gheu(e)- (to pourそそぐ, pour a libationお神酒をそそぐ) gut消化管, funnel煙突, fusion融合, confuse混同する, refuseこばむ. *ソソグ姿=クヒコム・カブセル姿。

Kap- (to grapつかむ) have持っている, heavy重い, haven, hawk¹鷹, cable被覆電線, capable有能な, caption題目, captive捕虜, captureぶんどり品, catchとらえる, chase¹追いかける, accept受けいれる, deceiveまどわす, intercept途中で奪う, occupy占めるperceive気づく, receive受けとる, recover回復する, capsuleカプセル, chassis車台. *カブリツク・カブセル・クヒコム 姿。⇔カフ[飼・養・買]・カブ[頭・株]・カブセル・カバフ。

Kaput-(head) head, cadet士官候補生, capital¹首都, captainかしら, cattle家畜, chapter, chiefかしら, kerchiefえりまき.  *カブル・カブラセル 姿。⇔カブ[頭・株]・カブル[被]。

Kau- (to hewたたき切る, strike打つ) hew, haggle切りきざむ, hoeくわ[鍬], hayまぐさ. *クヒツク・カミクダク姿。⇔クハ[鍬](動詞 クフ[] 未然形 名詞形。地面にクヒこむ [] もつ 耕具)

Keu- (to perceive気づく, see見る, hear聞く) hear, acoustic聴覚の, show見せる, scavenger食物あさりをする生物, sheenかがやき.  *口・目・耳などで、クヒコム・カミツク 姿。⇔クフ[]

Keue- (to swellふくらむ) caveほら穴, cavernほら穴をくりぬく, concaveくぼんだ, excavateくりぬく, cumulus積雲, church教会堂. *ガブリ・クヒこまれ、クリぬかれ、クボミが できた 姿。⇔クフ・クヒコミ・クボ・クボム。

 (s)keu- (to coverおおう, concealかくす) skyそら, scum薄皮, obscureあいまいな, hideかくす, hut小屋, cuticle表皮, hoseホース, hut小屋. *カハを カブセル・カバフ 姿。⇔カハ[皮・革・河・川]・カフ[飼・養・買]・カブセル[]・カバフ[]

 

お願い
k-p音に かぎらず、音韻面 から 日本語と 外国語を 比較した 研究報告は、めったに きいた ことが ありません。わたしも まだ 手さぐりで 地面を はいまわって いる 状態です。音韻比較の 方法・手順の こと などを ふくめ、お気づきの 点を ご教示 くださる よう お願い いたします。

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