『古事記』解釈の
キーワード⑦
solar=ソラ ミツ ヤ[矢]
sleigh=ソリ[橇]
画像に
ついて
s-r音や s-l音の イメージを 表わす 画像を、ネットの 中から えらんで 借用させて いただきました。
s-r音とs-l音
日本語 (ヤマトコトバ)の ラ行音は もともと r-音だけ であり、l-音が ありません。漢語や英語では r-音と l-音と 2種類が あって、その 音形の チガイが そのまま 意味用法の チガイを 表わして いる のですが、日本語では r-音と l-音を 区せず、漢語や 英語の l-音も すべて r-音と して 受けいれて いる のが 現状です。その点も 考えながら、英語のs-r、s-l音の 基本義を さぐります。
r-音と l-音との 相違点・共通点
r-音と l-音は、それぞれ まったく 別の 意味用法を もっている とも いえます。たとえば、ring(輪。鳴りひびく)、ride(馬に 乗る)、road(道路)、round(まるい)、run(走る)など には、「ノリモノに
のって、かけまわる」(回転運動)の イメージが あります。くらべて、lead(導く)、lie(横に なる)、light(光線)、line(線)、load(人や 荷を のせる)など には、「人や 荷を のせて 移動する」(直線運動)の イメージが あります。ちがうと
いえば、たしかに
ちがいます。
しかし、もういちど
考えて
みると、その
チガイは
大同の
中の
小異だ
とも
いえます。「人が
馬に
乗る」姿と「馬が
人を
乗せる」姿は、客観的には(絵に
描いて
みれば)まったく
おなじ 姿
です。また、road(道路)と load(人や 荷を のせる)も、ともに「(人・荷・車
などを)ノセル」姿
です。
ring(輪)は、ある 角度 から 見れば 〇形に 見えますが、90°ちがった 角度 から 見れば┃(直線形)にも
見えます。
人が walkしたり runしたり する 姿は、直線運動と
回転運動との
総合
です。手・足・胴体など
人体各部は、直線運動しか
できない
骨格に
筋肉が
ついた
もの
ですが、骨格同士
結合して
関節を
構成し、その
まわりの
筋肉の
ハタラキ(直線運動)に
よって、関節部分で
ちいさな
回転運動を
おこし、それが
やがて
全身の
移動(直線運動)を
もたらします。
s-r音と s-l音の チガイを こまかく 分析する 目も 必要 です
が、その チガイを こえて共通する
点を とらえる
目も 必要
かと 思います。
サル・サラスもの=太陽、solar
日本語や 漢語の 音韻感覚にも 共通する s-r, s-l音 英語は ないで しょうか?そう 考えて、思いついた のが、sol, solarです。
Solは、ローマの 太陽神。太陽の 権威は 最高で 絶対の もの。日の ヒカリに はむかって 目を サラス[晒]ものは、たちまち
目を
射られ、焼かれ、ソリ[剃]おとされます。人びとは みな そのイ
カリを おそれ、「目を ソラス[逸]」、あるいは「その場を サル[去]」ことに なります。日光に 肌を サラス
ことを
さける
ため、パラソルparasolを さす ことも あります。
Solは、ソル[剃・反]・ソラス[逸]作用を おこす 主体 であり、solarは「太陽(光)の」を
意味する
派生語と
解されます。
漢語では s-lの 音節は 成立 しませんが、上古漢語では s-rの 音節が 成立して いました(前号 参照)。サイser晒shaiは「日光に サラス」姿です から、英語solとも どこかでつながって いた かも しれません。
日本語の サルも、もとは「サ[箭・矢]の 姿に
ナル」で あり、「天空を とびかける サ[箭・矢]=太陽」と 解釈する ことも できます。漢字キョ[去]を 当てた のは、「サ[箭・矢]が とびサル[去]」姿に 限定した 表記法 です。また、サル・サラスに
ついては、上代から
サル[去・曝]・サラス[去・曝]の 表記法が 見られます。
ソラミツと solar
ここで ちょっと 本題から ソレル ことを おゆるし ください。「ソラミツ」もしくは
「ソラニ
ミツ」という
文句が『古事記』や
『萬葉集』に
でて
きます。国語辞典には「枕詞。ヤマト[大和]に かかるが、語義 および かかり方 未詳」として います。「ソラ[空]に ミツ[満] ヤマ[山]」と 解釈する 説も ある よう ですが、わたしは むしろ「ソラ[空]=大地の 上に ソリかえる 空間」、「ソラ[空] ミツ[御津・光]=空を とびかける 利器=太陽光線=ヤ[矢]」と 解釈する ことを 提案します。したがって 枕詞の ソラミツは、「地名の
ヤマトに
かかる」という
よりも、「ソラミツの
同義語
ヤ[矢]に かかる」と 解釈すべき でしょう。
英語の sol, solar などは 日本語 ソル・ソラ などの 音感覚で 解釈しても、そこそこ 通じる よう です。もちろん r-音と l音-との チガイ などの 問題は ありますが、日本語(人)の 音韻感覚は かなり おおらかな 面を もって います。
「ソラミツ・ヤマト」は、「武士という
サムライ」「腹切って
切腹」、あるいは「山岳・河川・海洋」などと
おなじような
修辞法かと
思われます。
サラサラ・ザラザラした
もの=塩、salt
海水を 天日に サラスと、塩、saltが できます。つまり、海水と いう 液体 から 水分がサル[去] 結果、塩、saltと いう 固体に 変身する わけ です。この 塩、saltの 手ざわり(触覚)や 舌ざわり(味覚)を 表わす コトバが サラサラ・ザラザラ
など。saltだけで なく、 silt沈泥, sauceソース, saladサラダ などの 語音 にも、この 音感覚が そのまま 残っています。
ゾロゾロ・ソロウ
もの=シリーズ、series
英語の seriesシリーズは、もう すっかり 日本語と して 定着した 感じですが、もともと「同類の ものが、ゾロゾロ
ならぶ」姿です。そこに
シリを
おろした
もの
同士で
シリアイと
なり、また
セリアウ
ことも
あります。
Ser-音 英語 シリーズと して、assert主張する, exert努力, sermon説教, sort種類, assort分類する, consort配偶者 などが あります。それぞれ
ニュアンスの
チガイは
ありますが、「同類の
ものが、ゾロゾロ・ソロウ(ソロエル)」姿を
共有して
います。
ちなみに 日本語 では、s-r 2音節 動詞が サル・シル・スル・セル・ソル ともに ソロッテ 成立して います。
語根
s-r, s-lと その 派生語
ここまで、英語の
s-r, s-l音と 日本語 s-r音との 対応関係を さぐって きました。まだ ほんの わずかの 資料に すぎませんが、それでも
おぼろげ
ながら、民族言語の ワクを こえて 共通する 音韻感覚を 読みとる ことが できました。
予定の スペースの つごうも あり、今回は これで うちきりと させて いただきますが、ご参考までに『アメリカの 遺産 英語辞典』フロク「IE語根と その 派生語」から 関係項目を 引用して おきます(各項 日本語訳 および *印以下は 引用者)。
sal- (salt塩) salt, silt沈泥, sauceソース。味を つける もの, saladサラダ, salary給料, *サラサラ・ザラザラした もの=塩、salt
sawel- (sun太陽) Sunday日曜日, south南方, southern南に ある, solar太陽の,parasol日傘。.
sel- (to jumpとび上がる) salientつき出た, exult狂喜する, result結果, salmon鮭. *ソリ[反]かえる姿。Sleighは 日本語でも ソリ[橇]で、先端部が ソリ[反]かえって いる。
ser-①(t o protect守る) observe見守る, preserve保存する, reserveとっておく, *マモル姿。
ser-② (to line up並べる) seriesシリーズ, assert主張する, exert努力, sermon説教, sort種類, assort分類する, consort配偶者.*ナラブ・ソロウ姿(セリダス姿)。
sleb- (to sleep眠る) sleep.*スレル・ズレル・スベル・セリダス姿。
sleg- (to be slack) slack①ゆるい。②粉炭, lax手ぬるい, relaxゆるめる, *スラスラ・スルリ、スレル・ズレル姿。
sleub- (to slideすべる, slipすべる) sleeveそで, slop1液体をこぼす, sloop1本マストの縦帆装船. *スラスラ・スルスル・ズルズル、スベル・セリダス姿。
sol- (whole全部の) solid立体の, consolidate統合整理する, safe安全な, salvage海難救助, save1救う. *ソロウ姿。その 体勢の まま、ソロソロ・ソロリ 移動する 姿。
sreu- (to flow流れる) stream流れ, rhythmリズム, *液体や 音 などが スルスル・ズルズル、ナガレル・スベル・スレル・ズレル姿。.
swel- (to eatたべる, drinkのむ) swillがぶ飲み する, swallow①飲みこむ。②ツバメ。*スラスラ・スルスル・ズルズル、飲みこむ姿。
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