…k-n音の 英語③…
[兼]の銅器銘文
k-n音 英語の
問題点
2回に わたって、k-n音 英語の 基本義を さぐり、日本語音や
漢語音との
関連に
ついて
考えて
きました。辞典で「インド・ヨーロッパ
語根と
その
派生語」と
されて
いるk-n音語に ついて、ひととおり ご紹介できたかと 思います。その ほか にも「古代・中古
英語
以来の
k-n音語」が あります ので、このあと とりあげる ことに します。
カネを ナラス 姿
前回 ふれた とおり、「語根kan-と 派生語hen, chant」、「語根ghans-と 派生語goose, gosling」、「語根kwon-とcynic, hound, canary」などの 関係を 見て いると、これらの コトバは いずれも もともとトリ・イヌなど動物のナキゴエをまねたもの、つまり擬声語のたぐいからはじまったように思われます。
ただし、擬声語・擬態語 などと いう ばあい、こんどは どこ までが 擬声語で、どこ までが 擬態語か、どこ からが 品詞語か など、ややこしい
問題も
でて
きます。いま
ここで
とりあげる
よゆうが
ありません。
それより もう すこし 身近な 問題に 気づき ました ので、とりあげ させて いただきます。それは、日本語でも ナルに 「①ナル[鳴]」と「②ナル[生・成・為]」が ある ように、英語でも まったく 同一の 音形knollに「①鐘を 鳴らす」と「②小山。円丘」(クネル・ナル[生・成・為]姿)という 二つの 意味用法が ある という こと です。
客観的に 考えて みれば、「鐘が ナル[鳴]」のも、「鐘をknollする」のも、「(地殻変動の 結果) knoll(小山)が できる」のも、すべて「(ある種の 運動の 結果)、相応の 現象が 生じる(=ナル[鳴・生・成・為])」という こと です。その点 では、日漢英語音
とも
共通の音韻感覚で 語彙が 組織されて いると 考えて よさそう です。
K-(カネ・キネ)が ナル[鳴] 姿
鐘を 撞木で つくと、音が 出ます。そのとき ナル[鳴] のは、鐘か、撞木か?そんな 禅問答の テーマも ある ようですが、ここでは「オト[音]=ネ」に つながる k-n音 英語を ひろって みました。
gnar (イヌ・オオカミ などが) ウナル。⇔ガナル。
gnarl1 (犬 などが) ウナル。 *<gnar
gnash(怒りや 苦しみで、歯を)カミナラス。
knap2 コブシで コツコツ たたく。
knell (人の 死を 告げる)カネ[鐘]の ネ[音]。
knoll2 カネを ナラス。*ナル[生・成・為・鳴]・ノル[乗] 姿。
クネクネ・クネル、関節の
姿
人間も ふくめて 動物の 体形は 骨格で ささえられて います。その 骨格を クネらせ、自在に 動かす 装置の カナメが 関節。植物で いえば、木や 竹の フシ[節] です。
gnarl2 (木の) 節。コブ。←gnarウナル。
gnarled 節 だらけの。<knar節。 ⇔カンセツ[関節]。
knack 要領。こつ。 *カナメ・カネアイ。
knaggy
節 だらけの。 ⇔カンセツ[関節]。
knap 小山の 頂上。
knar 木の節。枝の コブ。 ⇔カンセツ[関節]。
knickers ヒザ関節の ところで くくる 半ズボン。
knife ナイフ。*にぎり部分の
ある
ハモノ。
knob にぎり。とって。 *関節の
姿。
knock コツコツ たたく。コブシで
たたく。*コブシ[拳]は 関節の かたまり。
knock-knee x字 脚。*ヒザが ブツカル 姿。
knoll1 小山。円丘。*ナリモノ。 ⇔ナル[生・成・為・鳴]・ノル[乗]・クネル。
knop にぎり。とって。*関節の姿。
knot 結び目。結節。*クネクネ、クネル、関節の姿。
knuckle 指関節。げんこつ。 ⇔ケン・ゲンgiuan拳guan。
ネル・コネル 姿
キネ[杵]で ツク・コネル 姿は、やがて アミバリで ツク・ツクネル 姿に 通じます。
knead コネル。練る。 ⇔コナス・コネル・ツカネル・ツクネル。
knit 編む。*針で 糸を カミアワセル。カネアワセル。クミアワセル。
k-m音とk-n音の クナガイ
現代では
あまり
耳に
しない
ヤマトコトバに
クナグ[婚]が あります。辞典には
クナガイ[婚合]・クナタブレ(気が 狂って いる 人。クナは カタクナの クナ)などの 項目は ありますが、クナと いう 項目は 見あたり ません。クネクネ ツナガリ ひろがる 地域が クニ[国]、クネクネ とりカコム 姿の 垣根が クネと 解説されて います から、クナも また
「クネクネ、クネリ ながら、ツナガル
もの」。ずばり
いっ
て、イザナキが
イザナミと
クナガイを した ときの 男性器
の ことに チガイ ありません。ただ、日本列島に 仏教が ひ
ろまって からは、性に かんする 表現を さける ように なり、クナ・クナグ・クナガイなども 死語に ちかく なった ようです。
k-m, k-n音語に かぎらず、日本語の 本来の 姿を とらえる
ため には、日本語の まわりに
ある
言語との
比較研究が
必
要だと
思います。
日漢英
とも
k-m音がk-n音と 交替する 現象が みられる こ
とに ついては、このブログでも
とりあげた
ことが
ありま
す。できれば
ご参照
ください。
2013.1.15. 「カム・クム 姿」…漢語音では、カム[甘]・キ
ム[今]から カン・キンに 変化。日本語音では、ミナ[蜷]から
ニナ、カミサシ[髪刺]から カンザシに 変化。
2013.2.1. 「k-m音の 日本語」…カム[噛・咬] ものが カマ
[鎌・釜]。<追記>カマ[鎌]の
日本漢字音は
レンですが、上
古漢語音gliam、現代漢語音lian。つまり、もと k-l-m音タ
イプ だった ものが、途中で 語頭子音g-が 脱落したり、語尾
子音 -mが -nに 変化したり
した
コトバです。字形として
は、鎌=「金+音符兼」の
会意兼形声モジ。兼=「二本の
禾(イネ) + 手」の 会意モジ。漢語音は、klam兼jian。こう
した 事情を 総合して みると、漢語の
ケン[兼]や レン[鎌]
などの 語音が、日本語の
カム・カヌ・カラム・クルム など
と カミアイ・クミアイ・カラミあう 語音だった ことが 推察
されます(画像「[兼]の銅器銘文」は、高明編『古文字類
編』に よる)。
2013.2.9. 「k-m音の 英語」・・・Comeやgameは、カム
[噛・咬]・カミアウ 姿。Gambleは、ガメツイgame。
Companyは、クミアウ 仲間。
2013.2.19. 「日漢 k-m音の カミあわせ」…漢語音 キン
[今・衿・襟]は、もと k-m音 から k-n音に 変化した もの。
「フタを して、閉じコメル」姿を 表わす。