2014年2月11日火曜日

カン[干]と コン[艮]との カネアイ


k-n音の漢語②…

 
 

「漢字物語」141イラスト
 
 
 


カン[] グループと ゲン[限]グループ
前回は、k-n 漢語 カン[干・幹] 基本義 ついて 考え、「もろもろの 条件を カネそなえ、願望を カナエル もの、カナメ[]」と 解釈して みました。今回は、また すこしちがった 視点 から、k-n 漢語の 基本義を さぐって みましょう。

てもとに 北日本新聞 連載、小山鉄郎 さんの 漢字物語、限の字編」(白川静文字学入門141)が ありました ので、カン[干・幹] グループの 漢語と ゲン[限]グループの 漢語との あいだに どんな 共通基本義が あるか、考える ことに します。

 

限グループ 漢字の 意味
はじめに、小山鉄郎 さんの 解説要旨を ご紹介します。はまむらゆう さんの イラストとあわせて ごらん ください。

漢字には神神に祈ることに関係した文字がたくさんある。神に祈って、願いや呪いを実現しようとしたから。神に近づきたいとの思っても、これ以上は神の世界に近づけないという限界がある。ここまでとカギル、その姿が「限」。限は「阝+艮」。阝=天と地上を昇り降りする階段。艮=目+ヒ(ナイフ)。つまり、神聖な通路(階段)に「呪いの目」を仕掛け、監視する姿。以下おなじ感覚で、眼=呪力のある目。恨=艮の呪力で前進できず、不本意な心。根=木の根が伸びなやみ、遮断さたところ。また、木を大きく成長させるもと。

 

カン「限」グループ 漢字の 音形
小山 さんの 解説で、字形コン[艮]が もとに なって ゲン[]・ガン[] コン[恨・根・痕] などの 漢字が 生まれた 経過が 分かって きたと 思います。ここ までは、漢字と いう モジ 話です。

ここ から さきは、コトバ 話。ゲンgen・ガンgan・コンkon などの オト(音声)でどんな コト事物の姿)を あらわす ことが できた のか?その 原理・原則 さぐりたい のです。

とりあえず、いつもの とおり カン「限」グループ 漢字の 音形を チェックして おきます。

ゲンhenxian//  ガンngenyan//  コンhenhen//  コンkengen// 

コンhenhen

上古音の 語頭 子音は h, ng, k などに 分かれて いますが、イズミ方式では まとめて k-グループ して います。日本語の「50音図」で、清音と 濁音の チガイを 無視して いる のと おなじ 要領です。

語尾子音は、すべて-nです。

したがって、このグループの音形をkenと設定することができます。

 

再考、k-n音語の 基本義
Kan ken チガイは、母音a e との チガイ。日本語音で いえば、たとえば カ[髪・梶・蚊・香・日] ケ[木・笥・毛・気] チガイ。ちがう いえば、たしかに ちがいますが、いずれも カミツク・クイコム 姿 考えれば、おなじ 姿を 表わす コトバ といえます。

ついでに いえば、[菜・名] [根・音] ちがいも、いずれも ナルモノ・ナリモノ という 点で、大同 中の 小異 いう ことに なります。

さて、漢語音 kan[干・刊・幹] ken[限・眼・根] ばあいは どうで しょうか?

前回、k-n音語の 基本義を めぐって「カネ 撞木との カネアイ [] ナル[生・成・鳴]」と いう 原理を もちだしました。(カネ 撞木 との)カネアイ 原因で、その 結果 して [] 発生ししばらく あたりに ひびき わたります。カネアイ とは、関係する こと。より 具体的に いえば、(カネ 撞木が)カヌ・カネル(k-n-する=クネクネ、つながる)姿 です。

このばあい、鐘の ネ[音]も 行為カヌに よる ナリモノ[鳴物・生り物]です。

ここまで 考えて くると、動詞カヌは「兼ねる」を 意味する まえに、まず「カ[髪・梶・蚊・香・日][寝・去]」(カミツク・クイコム姿)を 意味する コトバ だった 推定されます。

この原理は、k-n 漢語 でも 作用して いた いえます。

漢語音kan[干・刊・幹] ついて いえば、こん棒を ふりまわし、あたり かまわず クイツク・カミツク 姿が カン[干]。版木を ケヅリ、カミツク姿が カン[刊]。大地に ネ[根]を はりめぐらし、枝や 葉と つなぐ カナメ役を はたす ものが カン[幹]。

ken[限・眼・根] ついて いえば;

ゲン[]は、カミ[] ノル[] 階段。俗世界 天上界との クギリ。カナメ でも ある。

ガン[] は、マブタの 奥、ナイフで えぐられた 形の ワク。その ワクの 中に ナルもの。

コン[] は、ココロに ナル・ノコル もの。カナシミ。心の キズアト[傷痕]

コン[] は、ネッコ。[] []。地中に [] クイ[]こませ、ネル[] 姿。カネ[]て、カン[]への 栄養補給対策を ネル[] 姿。

コン[] は、キズアト[傷痕]。ナイフを クイこませ、キズつけた ナゴリ・ノコリ

 

日漢英共通の 音韻感覚
「富山第一高校 サッカー 全国制覇」、「ips細胞」、「stap細胞」などの ニュースで もりあがったり、前立腺の 治療で 医者に かかったり、予想して いなかった ことに 時間を かけて しまいます。そして、「日漢英の 音韻比較 作業」のスケジュールは とめどなく おくれて ゆきます。

それでも よいと 思って います。これまで たどたどしい 音韻比較作業を つづけてきたおかげで、日漢英共通の 音韻感覚 しだいに 目に見えて きた から です。

音韻比較の 単位 単語・音節 から 音素 まで 細分した 結果、いわゆる 言語系統の 限界を こえて、ほぼ 共通の 音韻感覚で 組織されて いる ことが 分かってきた わけです。

 

クヮン[] グループは 次回に
これで ようやく カン[]・コン[] グループの 基本義に せまる ことが できた ように思います。しかし、k-n 漢語には kan, ken タイプの ほか、kuan, kuen など、いろいろな タイプが あります。また、カン[甘・感]・キン[今・金] などの ように、もとk-m音から k-n音に 変化した される ものも あり、そのへんの 関係も たしかめる必要が あります。
そんな しだいで、このあと もう 1 だけ、k-n 漢語を 追いつづける ことに します。

1 件のコメント:

  1. 言霊 面白いですね、 朝鮮ってハングル語 中国、日本から離れて 更に徹底すると解らなくなり、、 やっぱり元の漢字残さないと意味も判らなくなる。

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