2013年11月6日水曜日

パクパク・パクル

p-k音の日本語…
 
 
「カード64」、p-k
 
 
 
 


p-k音日本語について 
これまでにも、p-k音の コトバを とりあげた ことが あります。

ヒゲの 剃り杭」(12-9-12号)、「 ある 人、ヰヒカ(12-9-18) 参照。

そこでは、日本語の p-k 2音節 動詞 ヒク[弾・引] 中心に ヒカ[氷鹿]・ヒカリ[]・ヒゲ[]・ヒコ[日子・彦]などの 語音構造に ついて 考えて みたり、あわせてpick, picker, peak, peek, peck, picket, pike, poke など p-k音の 英語と 比較して みたり しました。

こんど、あらためて 日漢英の -k音語を とりあげる ことに しました。すこし 腰を すえて、できるだけ まともな 音韻比較を して みたいと 願って います。

まずは、p-k音の 日本語 から。

はじめに ことわって おきますが、日本語の ハ行音 もともとh-では なく、f-p-のような クチビルの だったと されて います。したがって、ハfa・バba・パpaは、まとめてp- グループとして あつかう ことに して います。現代日本語 では、ハ行子音が h-音に 変化して いる ものが おおい ことは 事実 ですが、音韻比較には やはり もとの 語音(音形) とりあげないと、正確な 議論に なりません。ただし、あまり ややこしい 議論は、べつの 機会に ゆずります。

 

パクパク・パクリ・パクル
口を おおきく 開いて クイツク 姿を パクルと いいます。動詞 パクルの 連用形 名詞が パクリ。そして、口の 開閉を くりかえす 姿が 擬態語 パクパクと いう ことに なります。

ところで、そもそも そのような 姿 (事実・行為) どうして パクpakuという 語音で あらわす ことに なった ので しょうか?

ヤボな 質問を するなと いわれる かも しれませんが、<事物の姿> <語音>との 対応原理 みたいな ものを たしかめ たい のです。べつに 日本語 だけの 問題では ありません。その 対応原理関係と いう ものは、おそらく 日本語に かぎらず、漢語・英語、その他の 民族言語にも 通用する はず です。そこから、日本語と 外国語との 韻比較の道 ひらけて くるに ちがい ないのです。

 

パク=ハク=「ハ[刃・歯・葉] クル[]
単純明快な 議論に なる ように、ここで  わたしの 解答(仮説) だして おきましょう。

ヤマトコトバ では、「11」が 原則 です。たとえばハ(pa, ba, fa) 漢字で [刃・歯・葉] などと 書き分けられ ますが、もとは「同音同義」の 1 です。

パ=pa. いったん クチビルを とじ、口の中に たまった 息を パッと ハキだす 姿で 発声される 破裂音が p- です。音節語尾に -a母音を もつ パ・バ[]・ハ[刃・歯・葉]は、p-するもの・ところ などを 意味する 名詞と なります。。

ku ついても おなじ です。

ク=k+u. ノドの 奥から 出て きた 息の ながれが 声門で ヒッカカリ、クリヌク 姿で出て クル(発声される) 破裂音が k- です。したがって、k-音の コトバには カク[掻・欠・書・懸]・クダク[]・ケヅル[]・クル[來・刳] などの 姿が つきまといます。カクや クル など、漢字で 書けば (漢語に翻訳すれば) 複数の 表記法に 分かれる ので、同音異義の ように 見えますが、ヤマトコトバでは もともと 同音同義の 1 です。

つまる ところ、ハク 基本義は「ハ[刃・歯・葉] クル[](パクル) 姿 です。

おなじ ハクでも いりいろな ハク[吐・掃・著・帯・佩・履・穿] あります。

ハク[吐・掃]は、「(不要な モノを) パッと ハキ出す」姿。ハク[著・帯・佩・履・穿]は、「(帯や などが 刀や などを) パクパク・パクル」姿 です。

ハグ[]・ハガスも、基本的に おなじ「パクパク・パクル」姿 です。

このような 見方で コトバの 意味を 整理して みると、<事物の姿>と 語音>との 対応原理 見えて きます。つまり、<語音>が あらわす 基本義 とは、<音声を 発声する とき、発声器官に 生まれる 感覚>だと いう こと です。特定の 発声器官の姿>が 特定の 音声の姿>と 対応する こと から、11義の 原則 うまれた わけ です。

同時に また、事物の 種類は 無限大 なのに たいして、発声器官の 姿や 音声の 姿は 種類が 限定される ため、おなじ 姿と みとめられる 事物に ついては おなじ 音形(音声の姿) あらわす ことに なります。たとえば、[刃・歯・葉]ハク[吐・掃・著・帯・佩・履・穿] など。

 

ハク・ハカ・ハコ・ハコブ
ヤマトコトバでは、2音節 動詞 ハク から 多数の 動詞・名詞 その他の コトバが 生まれたと 考えられます。ハク→ハカ・ハカドル・ハカユク・ハキモノ・ハコ・ハコブなど。

ハカ[]…動詞 ハクの 名詞形。ハコ型の 木材や 石材 などを ハモノで パクリ、ヘコミ[] 部分に 死体を 安置できる ように した もの。死体を パクル 姿と 見ても よい。

ハカ[量・捗]…動詞 ハクの 名詞形。稲カリ・草カリ など、ハク 作業の 量。→ハカドル[]・ハカユク[]・ハカル[謀・計]・ハカリ[量・斤]・バカリ[]・ハカリゴト[策・謀]

ハコ[]…動詞 ハクの 名詞形。ハカ[墓・量] 語尾母音 -a -o 変化した 音形。モノを パクル 姿。→ハコブ[]。*ハコに おさめる ことは、コンパクトcompact 姿にする こと。やがて ハコブ ことを 意味する。ハコと ハコブ との 関係は、carcarryとの 関係に ちかい。

ハキモノ[履物]…ハキは、動詞 ハクの 連用形 名詞形。*同類語の クツ[靴・沓] k-t音語。ハモノで ケヅル・クダク・カット(割・cut) など して 空洞を つくる 姿。<靴が足を パクル 姿>でも あり、<足が 靴を パクル 姿>でも ある。

 

フカフカ・フックラ・フクラム
2音節 動詞 フクを 中心に、多数の 動詞・名詞 および その他の コトバが 生まれて います。

フク[吹・葺・揮・振・更・深・化・拭]→フカ[]・フキ[]・フケ[]・フカス[深・更・蒸]・フカム[]・フクシ(堀串)・フクム[]・フクル[]・フクロ[袋・嚢]・フケル[]

まず、ハクと フク との 音形の チガイに ついて 考えて みましょう。それは、ハクpaku 語頭音節 pa 母音が –a から -u 変化した だけの チガイ です。したがって、ハク音と フク音の コトバは p-k音語 として 共通の 基本義を フクム ことに なります。

ヤマトコトバの には、動詞 [言・乾・干・嚔・綜・経・歴]名詞 [](縞・節)接尾語 (動作の継続・反覆) などが あります。

ついでに いうと、上代語の 用例に 擬声語の [蜂音] あります。ハチが ブーンと とぶ 羽音の ブ音 です。この ブ音は 空気の 振動音 です から、<風が フク>、<コトバを イフ>、<くしゃみを する(息を フキだす) などと おなじ 姿 です。

そこで、語音 フクの 基本義は、「フ[言・生] クル[]」姿 考えて よい でしょう。

屋根を フク[] いう のは、雨風が フキ[]コム 姿を まねて カヤ・イタ・カワラ などを ならべる こと で、ぎゃくに 雨風の フキ[]コミを 防ぐ、人間の チエ です。

さらに いえば、イキル とは イキ[] する こと。つまり、空気を スフ[]・フク[吹・噴](ハク[])動作 くりかえし です。この 姿は その まま、動詞 [] (時間が 経過する)・フ[経・綜] (経糸を かける)・フ[] (音声を フキだす)[乾・干] (水分が フキとぶ) などの 姿 です。

そして、空気や 水分を たっぷり フキこまれた ものが、フカフカ・フックラ・フクラム姿 なります。

だんだん 残りの スペースが なくなって きました。以下、簡単に しるします。

 

ヘコヘコ・ペコペコ・ヘコム
2音節動詞 ヘグ[剥・折・減]は、ハグ[] 交替音 見て よい でしょう。ハギとられた 部分は、それだけ ヘコム ことに なります。ヘコヘコ・ベコベコ・ペコペコは、頭や腹部を ヘコませる 姿勢 です。

 

ホカホカ・ホクホク・ホク・ホコル
動詞 ホク[祝・祷]は、もと「[] []」で、「口に 穂を フクミ、豊作を 祝福する」行為 だったと 思われます。身も 心も ホカホカ・ホクホク・ホコル 姿 です。

ホク・コトホク[言寿・賀] ワザを もつ 門付芸人が ホカヒビト[乞食者] です。

ホカ[]は、もと 動詞 ホクの 未然形 名詞形で、「ホク ところ」の 意味。つまり、ホカホカ・ホクホク、食感を あじわう ところと 解されます。ただし、ホ[] そのもの では なく、ホカ[] ところ いう ことに なります。

イネや ムギの 穂を 口に フクム ことは、やがて カム こと であり、その 過程で 穂から モミが ハギとられ、さらには モミガラ から コメが ハギとられます。口の 中に 含まれた 穂に とって、口が ホカ[] ある ように、モミガラも コメに とっては ホカ[] いうことに なります。

ホガラカ[朗・廊] ついては、ホク[穂來]・ホカ[] 音感覚 からも 解釈でき そう ですが、もう 一つ、「[]+カラ[殻・空]+カ[]」の ような 構造の コトバと 解釈するほうが より 合理的 かも しれません。ホカラが ホガラに なる のは、連濁の 法則に よる もの です。

ホコ[] ホカ[] 語尾母音が 交替した 音形の コトバ。おなじく、「ホク ところ」の意味。ホコの 本の 部分が 柄の 先端部分を 包みこむ (フクム) 姿に なって います。その 姿が やがて 勝ちホコル[] 姿に つながります。

 
あいかわらず 説明不足に なって しまって、もうしわけ ありません。


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