ことしは カラつゆ?
ことしは カラつゆ?
きょうは 6月12日ですが、富山は まだ ツユいり して いません。けっこう カラカラの よい お天気が つづいて います。
太陽が キラキラ・ギラギラ。こんな とき としよりが うっかり 散歩に でかけると、頭が クラクラ、足腰が
グラグラ。わずかな
段差に
つまづき、コロッと
ころんで
しまうことが
あります。クレグレも
油断は禁物です。
カラカラ から コロコロ
まで
さて、前号まで しばらく、s-m音の コトバに ついて 考えて きました。このあと
しばらくk-r音の コトバに ついいて 考えて みたいと おもいます。
わたしの見当では、日漢英とも かなり 多数の k-r音語を かかえて います。まずは その実態を しらべ、比較対照した
うえで、相互の対応関係を
さぐって
みます。さしあたり
きょうは 日本語、とりわけ 擬声・擬態語のk-r音から キリこむ ことに します。
漢語や英語に くらべて、日本語は とりわけ 擬声・擬態語の おおい言語だと いわれています。ざっと ひろって みても、こんな ぐあいに なります。
k-r音の擬声・擬態語(太字が擬声語)
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k-r-k-r
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k-r-r
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kar-
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カラカラ・カリカリ
ガラガラ・ガリガリ
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カラリ
ガラリ
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kir-
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キラキラ・キリキリ
ギラギラ・ギリギリ
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キラリ・キリリ
ギラリ・ギリリ
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kur-
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クラクラ・クリクリ・クルクル
グラグラ・グリグリ・グルグル
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クラリ・クルリ
グラリ・グルリ
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ker-
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ケラケラ・ケロケロ
ゲラゲラ・ゲロゲロ
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ケロリ
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kor-
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コリコリ・コロコロ
ゴリゴリ・ゴロゴロ
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コロリ
ゴロリ
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そのため、擬声・擬態語を つかう ことを きらう ひとたちも います。また ぎゃくに その ワカサ・生命力に 注目して、すすんで
擬声・擬態語を
つかおうと
いう
ひとも
います。
このあと、いくつかk-r音の擬声・擬態語をとりあげ、具体的に
考えて
みましょう。
貝のカラ、中はカラッポ
まずはカラから。貝は カラを もっていて、その中に 住んで います。カイガラの形によって、カタカイ[片貝]・マキガイ[巻貝]・ニマイガイ[二枚貝]などと よばれますが、カイガラの中は カラッポの空間。その空間に、貝が 住みこんで いる わけです。
カイ[貝]の 歴史カナヅカイは
カヒで、カヒ[貝・峡・飼]は すべて おなじ姿。いいかえれば、「カイガラの中で
カイの身を
カウ(カフ) [飼]」姿です。
カヒ・カフはk-p音のコトバですが、カラ・クルなどはk-r音のコトバです。
kar-音の2音節動詞終止形が
カル、未然形兼名詞形が
カラ、または カレと考えてよいでしょう。カル[借・刈・狩・枯・涸]もの(道具・場所)=①カラ[殻・空・韓・漢・唐・柄・枯]。②カレ[枯・涸・故]
たとえば、貝が 住む ために カル[借]ものが カラ[殻]で、カラッポの 空間です。
また、貝が もつ かたい カラは、やわらかな 貝の身を 保護する装置の 根幹です。それで、カラ[幹]と書く ことが あります。さらには、カラ[殻]の かたさが 原因で、貝の身の安全が まもられる こと から、原因を あらわす「~カラ[故]」などの用法も うまれました。
2枚貝の カラの なかに 豆粒を いれて ふりまわすと、カラカラ・ガラガラと 音が でます。この擬声語 ガラガラが、やがて
ガラガラと
音のでる
オモチャの
なまえにも
なりました。
植物の ばあい、カラ[幹]の なかの 水分が カラ[空]に なる ことは、やがて カラダ全体がカレ[枯]て しまう ことを 意味します。]
カラ[殻]の中でクラス[暮]
貝は、カラ[殻]の中で、つまり カラッポの空間を カリ[借]て クラス[暮] 生物です。そして この クラスが また、フシギなコトバです。class
クラスは ふつう 漢字で [暮]と 書かれ、「草原の
かなたに
日が
かくれる」姿と
解説されて
います。それでも
よろしいのですが、もうすこし
ちがった解釈も
できます。漢字[暮]は呉音モ・ム、漢音ボ、上古漢語音mag、現代漢語音muで、もともと m-k音語です。k-r音語の クラスに ついては、やはり k-r音を 中心に 解釈する ほうが ぴったり くるだろうと おもいます。
クラスは、「クラ+ス」の構造を もつ コトバ。クラは、動詞クル[来・刳]の 名詞形 クラ[刳・倉・蔵・庫・鞍・座]。スは、ス[巣]も 無関係とは いいませんが、動詞のス[為] と 考えて よいでしょう。カス[貸]・サス[刺]・タス[足]などの スと おなじ 用法です。
クル[暮]=日が 西方の 大地を クル[刳](えぐる)=クレル[暮]・クラス。
クラ=クル・エグル ところ。
クラス=クラ[倉・庫・座]と スル[為]=クラス[暮]。クラ型の ス[巣]とも 解釈できます。英語音classとの 関連は、このあと
あらためて
とりあげる
予定です。
クルクル・クルマ・コロコロ・コロガル
カラ[殻]や クラ[倉・庫・座]は、クリぬいて カラッポに した 空間です。形としては、カラ[殻]も クラ[倉・庫]も コロコロ・ゴロゴロの姿。クリぬかれ、ぬきだされる 中身も、コロコロ・ゴロゴロ・コロガル姿です。
コロモ[衣]は、コロ(カラダ)の モ[裳]。カラダの グルリを クルリと クルム[包・裹]・カラム[絡] 衣装という ことに なります。
どうしてk-r音なの?
「カラカラと わらう」、「草を カル」、「日が クレル」など、さまざまな k-r音語が あります。
どんな とき、どうして k-r音が 必要に なるのでしょうか?
わらいたい ときは、ワハハでも、オホホでも かまいません。草を カルばあい でも、カルの かわりに キル・コルと いっても、なんとか
意味が通じる
かも
しれません。漢語なら
カツkat割ge、英語なら cut ぐらい でしょうか?
そもそもの 話、どんな 語音が どんな 意味を あらわす ことになるのでしょうか?もともと 語音と 意味とは 次元が ちがいます。音声と 意味(事物の姿) との あいだに、1対1の
対応関係が
ある
わけでは
ありません。ある事物の
姿を
あらわす
のに、k-, p-, s-, t-などの うち どの 語音を えらぶか、そのへんの ところは 民族言語に よって さまざまです。
現実には、それぞれの 民族言語が それぞれ 独自の 音韻感覚を もち、それぞれの 語彙組織を すすめて きたと おもわれます。ただし「独自の音韻感覚」とは
いっても、もともと
人類同士の
ことで
あり、おおまかな
点では
かなりの
共通感覚が
みられる
ようです。
日漢英3言語の k-r音に 共通感覚が みられる 点に ついては、このあと
順次
とりあげる
予定
ですが、その
論拠は、人類が「象形言語」方式によって、たくさんの
コトバをつくりだす
ことが
できたという「仮説」です。ただし、この「象形言語説」は
イズミ個人の
仮設
であり、なんの
権威も
ありません。
「象形言語説」では、「コトバ(音声)と 意味との 関係}に ついて、つぎのように 考えています。
①
絵を かくように 音声を つらね、その まとまりで 意味を あらわす。
②
動物の ナキゴエや カミナリの 音などに
ついては、発声器官を
調整して、音を
まねる。
③
動植物の 生態や 自然現象などを 観察し、その姿を 音声信号に ほんやく する。
Ex. テ[手]ツキデル姿// メ[目・芽・女]ウマレデル・ウミダスもの。
④
音声は 事物と 直接の 対応関係を もつことが できない。しかし 発声器官の姿を 調整して 事物の姿に なぞらえる ことは できる。発声器官の姿は
音声の姿に
対応するので、音声は
発声器官の姿を
とおして
間接的に
事物の姿と
対応関係を
もつ
ことが
できる。
⑤
結論として いえば、コトバの意味とは 「発声時に、発声器官に
うまれる
(音韻)感覚」である。具体的には、子音の ちがいが 基本義を 決定する。複数の
子音を
もつ
コトバの
意味は、それら
子音の
意味の
連合である。
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