ここまで2回にわたり、漢語とヤマトコトバのk-m音語について、それぞれの基本義をたずね、共通点をさぐってきました。
漢語では、上古漢語の時代にはかなり多数のk-m音語があったのですが、そのご音節語尾子音が変化(m→n)したため、現代漢語ではk-m音節はゼロとなっています。
その点を計算にいれて考えれば、日漢のk-m音語は、ふたごの兄弟かと思われるほど共通の音韻感覚をもっていたといえそうです。
その点を計算にいれて考えれば、日漢のk-m音語は、ふたごの兄弟かと思われるほど共通の音韻感覚をもっていたといえそうです。
それでは、英語のk-m音語はどうでしょうか?
comeは、カム[噛・咬]姿
英語のcomeは、日本語ではクル[來]と訳すのが普通です。つまり、同一の現象を英語ではk-m音、日本語ではk-r音で表現しているわけです。
英語comeの語音をそのまま日本語に当てはめれば、カム[噛・咬]となります。一見したところ、come(クル[来])とカム[噛・咬]とでは、まるで別の姿にも見えます。しかし、ここでもういちど考えてみましょう。
comeとは、「A地点からB地点に向かって移動する」姿。カム[噛・咬]もまた、「下歯が上歯に向かって移動する」姿です。つまり、基本的にはおなじ姿といえます。
welcome(歓迎する)もwell+comeの構造で、日本語の「ヨウコソ來ラレタ」にちかい発想のコトバと思われます。
gameは、カミ[噛・咬]あう姿
そこで考えてみると、ゲームやギャンブルなども「カミ[噛・咬]あう」姿だと気がつきます。
game(あそび)は、「AとBがカミアウ・クミアウ・ガミガミ攻めあう」姿。
gamble(ばくち)は、一攫千金を当てコム、ガメツイgame。
gamete(配偶子)は、他の細胞とカム・クムことで新しい組織をつくり出すもの。精子・卵子など。
gamo-は、united(クミあわせた)の意を表わすギリシア語から借用の造語要素。
そこで考えてみると、ゲームやギャンブルなども「カミ[噛・咬]あう」姿だと気がつきます。
game(あそび)は、「AとBがカミアウ・クミアウ・ガミガミ攻めあう」姿。
gamble(ばくち)は、一攫千金を当てコム、ガメツイgame。
gamete(配偶子)は、他の細胞とカム・クムことで新しい組織をつくり出すもの。精子・卵子など。
gamo-は、united(クミあわせた)の意を表わすギリシア語から借用の造語要素。
companyは、クミ[組]あう仲間
英語には、com-型のk-m音語がたくさんあり、コンパ・コンビなど、現代日本語のなかにもとりとりこまれています。com-は、with(~と), together(いっしょに)の意を表わす造語要素。→combine(クミあわせる), combination(クミあわせ), combat(カミつく。戦う), command(命令する), omment(解説する), commercial(商業の), common(共通の), communicate(伝える), community(地域共同体), compact(ぎっしり詰まった), companion(仲間), company(仲間。会社), compare(比べる), compart(仕切る), compass(コンパス), complete(完全にする), complex(複合体。コンプレックス), composition(作文),compressor(圧縮器), computer(電子計算機).
現代漢語にはk-m音節がありません。その点では、英語の方が日本語にちかい感じさえします。しかし、それは漢語の音節構造の特殊性とも関係することであり、また英語でもk-m音とk-n音が交替関係にあるなどの現象が見られます。
まだチェックできていないコトバもたくさんありますが、これまで見てきたところでは、日漢英のk-m音語は基本的に共通の感覚をもっていると考えてよさそうです。
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