2015年6月9日火曜日

k-p音 漢語の 基本義


『古事記』解釈の キーワード㉒





日漢英k-p音語の 対応関係を さぐる
 前回は、k-p音の 日本語が 基本的に「カブリつく」、「クヒつく」姿を あらわあす ことを 見て きました。この ことは 日本語だけの 現象で しょうか?それとも、漢語や 英語のk-p音に ついても 共通に 見られる 現象で しょうか?まずは 漢語のk-p音語から 見て みましょう。

 

k-p音 漢語の 基本義
  現代漢語にk-pタイプの 音節は ありません。しかし、上古漢語では 少数派 ながら k-pタイプの 音節が 成立して おり、そのご 語尾子音 -pが 脱落した ことが 分かって います。ここで、これまで 採集できた k-p音 漢語を ざっと まとめて みます (主として、『学研・漢和大字典』に よる。ただし、忠実な 引用には なって いない ので、責任は 引用者に ある。漢字音の 表記は、日本漢字音・上古漢語音・漢字・現代漢語音の 順に よる)。

 

カブル・カブセル 姿
カイ・ガイkab蓋gai4 おおう。ふた。かさ。けだし。なん    
 ぞ~せざる。*ムシロや 草ぶきの 屋根を カブセル さま。 
 ⇔カブ・カブト・カブル。カフ[蓋]。Cap, cover.

カフ・ケフkap甲jia3 かぶと。よろい。カメ・カニ・昆虫などの 固い カラ。*甲骨文は、ウロコの 象形モジ。金文 以後は、タネを とりまく 固い カラ(=カブルもの)の 象形モジ。  ⇔カブ・カブト・カブル。Cap, cover.

カフkap閘zha2 水を 閉じて とめる 水門。*クグル 姿=カ
 ブル 姿。

カフ・ガフhep合he2, ge3 あう。あわせる。あつまる。あつめる。*甲骨文は、アナに フタを カブセて、ピタリ 合わせる 姿。カフ[盍・盒]と同系。

カフ・ゲフhap洽xia2, qia4あまねし。うるおす。やわらげる。*うるおって、ぴったり調和する こと。

カフ・ケフkap袷jia2, qia1アワセ。*もう 1枚 カブセル、あ
 わせる 姿。

カフ・コフkep閤ge2, he2  くぐり戸。*クグル姿=頭に
 カブル 姿。

カフ・ガフhap盒he2 ふたもの。*フタ=カブル もの。

カフ・ガフhap盍he2 おおう。ふた。なんぞ~ざる。*皿に ガブリと フタを かぶせる姿。

カフ・ガフhab蓋he2, ge3 草ぶきの屋根。とま。*カフ[甲]と 同系。⇔カブ・カブト・カブル。Cap, cover.

  

キ[來]て フル[振]・フレル[触] 姿
キフgiep及ji2  およぶ。およぼす。*逃げる人の背に追う人
 の手がとどいたさま。

キフhiep吸xi1 すう。*口が ものに とどいて パッと すい
 つく さま。

キフkiep汲ji2 くむ。*水面に つるべを とどかせ、急いで
 ひきあげる さま。

キフkiep急ji2 いそぐ。せかせかと。*せかせか、追いつ
 こうと する 気持ち。

キフkiep級ji2  品。等級。クビ。*一段 また 一段と 糸を つぎ足す こと。キフ[吸・給]などと 同系。⇔キフ[來経]。Give.

キフk’iep泣qi4 なく。なみだ。*息を すいこむ ように し
 て、せきあげて なく こと。キフ[急・吸]などと 同系。

kiep給ji3, gei3 たりる.たす。あたえる。たまう。*織り糸の 欠けた ところを すぐ つぎあわす こと。その時、その場に、キ[來]て フル[振]・フレル[触] 姿。キフ[及・吸]などと 同系。⇔キフ[來経]。Give.

 

カバフ 姿、クヒコム 姿カバフ・協力する 姿と クヒコム・脅迫する 姿は、外見だけ では 見分けが つかない ことが あります([協:脇:脅]に かぎらず、言語一般に ついて 起こりうる 現象ですが)。

ケフhap協xie あわせる。かなう。*三つの チカラを あわ
 せる。⇔カバフ。Cover.

ケフhap挟xie2,jie1はさむ。さしはさむ。

カフ・ケフkap夾jia1,2  はさむ。わきばさむ。アワセ[袷]。*両わきに 子分を かかえ、両側から 守られて、大の 字 型に 立つ 親分の 姿。ケフ[挟・峡・狭]などと 同系。

ケフkap莢jia2 さや。*両方から はさむ 外皮。⇔カフ[飼]・カハ[皮・革・側]・カバフ。Cover, keep.

ケフhap侠xia2男だて。*両わきに 子分を かかえ、守られ
 て いる 親分の 姿。

ケフkap頬jia2 ほお。*顔を 両側から はさむ (カブリつ
 く)姿。

ケフkap鋏jia2 はさみ。*はさむ もの。⇔カフ[交]・カヒ
 [交・貝・峡]。

カフ・ケフhap峡xia2 狭間。*山あいの せまい 谷間。⇔
 カヒ[峡・貝]。

カフ・ケフhap狭xia2せまい。せばまる。せばめる。

ケフhiap脇 xie2 ワキ。*両脇から はさむ 姿。

ケフhiap脅xie2おびやかす。おどす。おびえる。わき。*一つの 語音が、「姿は よく 似て いる」が、「別の 意味」、もしくは「まったく 逆の 意味」を 表わす ことが ある。ケフ[協:協:脅]が その例。両脇をハサム姿は、「ささえる」姿でも あり、「おびやかす」姿でも ある。

 

次回は k-p音の 英語
 予告 どおり、今回は k-p音の 漢語を とりあげ、k-p音 日本語 (ヤマトコトバ)と 比較し、その 共通基本義を さぐって みました。漢語 カフ[甲]と 日本語 カブトとの 対応関係などに ついては、同感して いただけた でしょうか?ケフ[夾・峡]と カヒ[貝・峡]、キフ[級・給]と キフ[來経]との 対応関係に かんする 解説に ついては。「話が ウマ すぎる」、「一方的な コジツケ」と 感じられた かも しれません ね。
次回は、cap, cover, giveなどを ふくめ、k-p音 英語との 共通基本義を さぐります。