…t-n音の英語②
テント
ダム
寺院
原子爆弾
画像について
今回の 画像資料は すべて『中国語図解辞典』(大修館)から 借用させて いただきました。
それぞれ t-n音 英語 tent および t-m音 英語 dam, temple, atomに 当てた 画像です。これらの
コトバは、日本語や
中国語(漢語)では
まったく
ちがった
語音と
なる
のが当然です。それでも、tentと テンマク[天幕]、damと タメイケ[溜池]、atomと オツム(アタマ)など、なんとなく
にかよった
音形(t-n, t-m, t-m, t-rなど)の コトバが 連想されたり します。コトバの 音形と 意味との 関係に ついて、先入観念を
はなれ、客観的・合理的な 対応関係を 追求する ため には、案外 よい 方法かも しれません。
t-n音語根と派生語
前回は、おもいつく
ままに
t-n音 英語を とりあげて きましたが、今回 かぎりで まとめる ことに なりました。いろいろ
宿題も
あり、すこし
事務的に
なる
かも
しれませんが、まじめに
やります。
はじめに、『アメリカの 遺産 英語辞典、第3版』(略称A.H.D.) フロク「インド・ヨーロッパ語根と その 派生語」から t-n音 関係部分を とりだして ご紹介します。念のため
いいますと、ここで
とりあげた
のは
インド・ヨーロッパ語 規模での もの であり、そのほか
にも
古代
(あるいは 中古) 英語 以来のt-n音語が あると いう わけです。語根・基本義・派生語の順。日本語訳は
引用者。*印以下は
イズミの
解釈。
dent-(tooth歯) tooth, tuskキバ, dental歯の, dandelionタンポポ, indent1入りこむ.
*デーンとデル[出]・テル[照]姿。
*tooth, tuskは、-n子音が 脱落した 形。
*タンポポ[蒲公英]は、「タ[手・田]の ホ[穂・秀]」(ツキデル もの)の 姿。
*indent1は、水面が陸地へツキデル(湾入する)姿。
dhu-no-(enclosed囲まれた, fortified space補強された場所) down1下に, dune砂丘, town町.
*townとは、まわりを山で囲まれた地形、つまりツナ[綱]・ツノ[角]をめぐらせた場所の意か(マホロバに通じる発想のコトバかも)。
*downした あたりにtownができる。
ten-(to stretch引っぱり伸ばす) tend1~する傾向がある, tendonアキレス腱, tense1ぴんと張った, tent1テント, attend出席する, extend広げる, tenant居住者, tenorテノール, contain含む, continueつづく, entertain楽しませる, maintain保つ, obtain手にいれる, thin薄い, tender1やわらかい, tone音調.
*ten=テヌ[手寝]=手をノバス姿。⇔タノシ[楽・手 伸]・モテナス。
*布や 幕を ツッパル・ノバス姿が
テントtent。日本でも 一時 テンマク[天幕]と 表記した ことが ありますが、現代漢語では
ふつう
チャンポン帳篷zhangpengと 呼んで いる よう です。ぎゃくに 天幕tianmuは、「大空」の 意味で つかわれて います。考えて みれば、天空 そのものが 大地を おおう テント みたいな もの ですね。
*手で ツッパル・ノバス・ヒロゲル 姿が extend。その 動作を つづける 姿がcontinue。その 動作で モノを 手にいれる 姿がobtain。
ここまで 見て きた ところ、IE語根の
中で t-n音は 少数派の ようです。その点 では、t-n音 日本語と にて いて、漢語とは 対照的です。ただし、さきほど
指摘した
とおり、この
ほかにも
古代英語
以来の
t-n音 英語が あり、その 集計が でて からで ないと、断言は できません。
なお、つぎの IE語根 tong-(to think, feel)に ついては、t-n 音 よりは t-k音に 分類すべきかと 考え、ここでは とりあげません。
tong-(to think考える, feel感じる) thank感謝する, think, thought考え.
t-n音と t-m音との 関係
これまで 日本語でも 漢語でも、t-n音と t-m音が からみあって いる 現象が 見られました。その点、英語でも
おなじような
現象が
見られます。
A.H.D.の「IE語根と その 派生語」からt-m音 関連 部分を ご紹介します。
dekm-(ten十) ten, December12月, dozenダース, decade10年間, tenth10番目, hundred1百, centセント, century世紀, percentパーセント.
*この 語根dekm-(ten)の 音形には 問題が ありますが、いちおうt-m音 関連と 見て、この グループに いれて おきました。
*ここ でも、語根の m音が 派生語では 脱落したり、n音に 変化したり する 傾向が見られます。
dem-(house家, household家事) domeドーム, domestic家庭の, danger危険. domain領地, dominate支配する, timber立ち木
*語根 dem-の 基本義が「house, household」と 解説されて いますが、むしろ
語根deme-(to constrain, force)やtem-(to
cut)との 関連で 解釈した ほうが 分かりやすいかも しれません。
*タマ[玉・球・弾]の 姿を した 丸屋根の 家が ドーム。いいかえれば、トンガリ 帽子の 姿。その 頂点から 重力が 四方八方に 垂れさがる 姿。この 姿で 土地を 支配する ことが dominate。支配される 領地が domain。この 重力分散の 構造が ダメに なる 危険性がdangerでしょう か?
*ここでdamやdamageとの 関係が 気に なります が、辞典 では 「IE語根と 派生語」の リストには のって いません。damは、OE dam。 damageは、<ME<OF dam
loss <L damnumと されて います。いずれに
しても、ダムdamは タメ池で あり、水を タメル[矯・溜] 装置(土手・土堤)が ダメに なれば、たいへんな damageを もたらす ことに なります。
deme-(to constrain強制する, force強制する) tame飼いならす, dauntおどす, diamondダイヤモンド.
*タメル[矯] 姿.強制力を 持つ。 ⇔タム[矯]
tem-(to cut切る) tome一冊, anatomy解剖学, atom原子, temple1寺院, contemplate見通す.
*この 語根の 基本義はto cutと 解説されて いますが、t-m音 日本語の タム・ツム・トム などと 音義とも ちかい 語音 です。⇔タム[矯・溜]・ツム[摘・抓・詰・集・積・紡錘]・ツムリ[頭]・ツムガリ(の大刀)・トム[止・富・尋]。
*生物を
ツミ[摘・抓]とり、その 生理を ツキトメル[止・尋](探究) 学問がanatomy解剖学。
*ゴロゴロ・ゴツゴツした
素材を
タム[矯・溜]・ツム[摘・抓・詰・集・積]した 結果がtome一冊。
*モノを 分子の 段階から さらに こまかく キリツメタ
結果がatom原子。タマ[玉・珠・球・弾]型の 超微粒子で、ころがり(移動し) やすい。
*タマの ような 丸屋根を もつ 寺院がtemple。
*モノゴトの状況を ミツメ、原因を ツキトメ、経過を ツマビラカにし、将来を 見とおして、タマ[玉・珠・球・弾]の ような 結論を ツムギダス
姿が contemplate。
t-n音と t-r音の 関係
さて、宿題の「t-n音と t-r音の 関係」に ついては、前号で
指摘した
とおりで、そのごあらたな
発見は
ありません。
日本語のn, r音に ついては、「ツヌガ・敦賀・ツルガ」や「イナニ・稲荷・イナリ」などの 表記法の 事例 から、「n音 から
r音への 子音交替」が あったと 推論しました。ただし、この種の 事例が もっと たくさん ありそうな のですが、いまの
ところ
まだ
見つかって
いません。しいて
いえば、富山県立山町に
リタ[利田] という 地名が あります。常願寺川の 流域 なので、もと ニタ[仁田・丹田](ニタニタ・ネトネトした
湿田) からの 子音交替 かと 推定して いますが、まだ 断定は できません。
英語に ついては、前号でtuna(マグロ)と trout(マス[鱒])に あわせてtun(タル[樽]) をとりあげ、「英語音としてtunと tunaとの 関係」、「tunaとtroutとの漢英」、さらには「日本語タル[樽]と 漢語ソン[樽・鱒] や 英語tun(タル[樽])、tuna(マグロ)との 関係」などの問題に ついて 考えて きました。
日漢英の
tr音 比較という 点では、2013年10月1日から 3回に わたって ブログに とりあげ、それぞれの
言語内での
基本義を
追求すると
ともに、民族言語の
ワクを
こえる
共通基本義に ついても サグリを いれて きました。たとえば
10/22号「Teleは、デル[出]姿」では、まずdrip(シタタル)、drop(シタタリ)、television(テレビ)などのt-r(l)音がデル[出]・テル[照]姿で ある ことを 指摘した あと、日本語 デル[出]・テル[照]・テラ[寺]・テラス[照]などと 漢語ter邸di// der第di//、英語terrace(テラス。露台) などの t-r(l)音との あいだに 共通基本義が 見られる ことを 指摘しました。
おしらせ
まだまだ 不十分 ながら、日漢英の
t-n音 比較は これで いちおう うちきらせて いただきます。
次回は「アユの風」を とりあげる 予定です。
いっぱんに「アユの風」は 風位名と されて いる ようです が、それでは ナゼ どうしてアユが 風位名と された のか?アユと いう 語音に こだわって、その 背景や 経過を さぐります。
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