2014年6月3日火曜日

Tun音と t-m 音、t-r音との ツナガリ      


t-n音の英語②


テント
 
 
 
ダム 
 
 
 
寺院 
 
 
 
原子爆弾 
 
 
 


画像について
今回の 画像資料は すべて『中国語図解辞典』(大修館)から 借用させて いただきました。

それぞれ t-n 英語 tent および t-m 英語 dam, temple, atom 当てた 画像です。これらの コトバは、日本語や 中国語(漢語)では まったく ちがった 語音と なる のが当然です。それでも、tent テンマク[天幕]dam タメイケ[溜池]atom オツムアタマ)など、なんとなく にかよった 音形t-, t-m, t-m, t-rなど)の コトバが 連想されたり します。コトバの 音形と 意味との 関係 ついて、先入観念を はなれ、客観的・合理的な 対応関係 追求する ため には、案外 よい 方法かも しれません。  

 

t-n音語根と派生語
前回は、おもいつく ままに t-n 英語を とりあげて きましたが、今回 かぎりで まとめる ことに なりました。いろいろ 宿題も あり、すこし 事務的に なる かも しれませんが、まじめに やります。

はじめに、『アメリカの 遺産 英語辞典、第3版(略称A...) フロク「インド・ヨーロッパ語根と その 派生語」から t-n 関係部分を とりだして ご紹介します。念のため いいますと、ここで とりあげた のは インド・ヨーロッパ語 規模での もの であり、そのほか にも 古代 (あるいは 中古) 英語 以来のt-n音語 あると いう わけです。語根・基本義・派生語の順。日本語訳は 引用者。*印以下は イズミの 解釈。

dent-(tooth) tooth, tuskキバ, dental歯の, dandelionタンポポ, indent1入りこむ. 

デーンとデル[]・テル[]姿。 

tooth, tuskは、-n子音が 脱落した 形。

タンポポ[蒲公英]は、「タ[手・田] [穂・秀](ツキデル もの) 姿。    

  indent1は、水面が陸地へツキデル(湾入する)姿。

dhu-no-(enclosed囲まれた, fortified space補強された場所) down1下に, dune砂丘, town. 

townとは、まわりを山で囲まれた地形、つまりツナ[]・ツノ[]をめぐらせた場所の意か(マホロバに通じる発想のコトバかも)。

downした あたりにtownができる。

ten-(to stretch引っぱり伸ばす) tend1~する傾向がある, tendonアキレス腱, tense1ぴんと張った, tent1テント, attend出席する, extend広げる, tenant居住者, tenorテノール, contain含む, continueつづく, entertain楽しませる, maintain保つ, obtainにいれる, thin薄い, tender1やわらかい, tone音調. 

 ten=テヌ[手寝]をノバス姿。⇔タノシ[楽・手  伸]・モテナス。

  布や 幕を ツッパル・ノバス姿が テントtent。日本でも 一時 テンマク[天幕] 表記した ことが ありますが、現代漢語では ふつう チャンポン帳篷zhangpeng 呼んで いる よう です。ぎゃくに 天幕tianmuは、「大空」の 意味で つかわれて います。考えて みれば、天空 そのものが 大地を おおう テント みたいな もの ですね。

 *手で ツッパル・ノバス・ヒロゲル 姿が extend。その 動作を つづける 姿がcontinue。その 動作で モノを 手にいれる 姿がobtain

ここまで 見て きた ところ、IE語根の 中で t-n音は 少数派の ようです。その点 では、t-n 日本語と にて いて、漢語とは 対照的です。ただし、さきほど 指摘した とおり、この ほかにも 古代英語 以来の t-n音 英語が あり、その 集計が でて からで ないと、断言は できません。

なお、つぎの IE語根 tong-(to think, feel) ついては、t-n よりは t-k音に 分類すべきかと 考え、ここでは とりあげません。

tong-(to think考える, feel感じる) thank感謝する, think, thought考え.

 

t-n音と t-m音との 関係
これまで 日本語でも 漢語でも、t-n音と t-m音が からみあって いる 現象が 見られました。その点、英語でも おなじような 現象が 見られます。

A.H.D.の「IE語根と その 派生語」からt-m 関連 部分を ご紹介します。

dekm-(ten) ten, December12, dozenダース, decade10年間, tenth10番目,  hundred1, centセント, century世紀, percentパーセント.

 *この 語根dekm-(ten) 音形には 問題が ありますが、いちおうt-m 関連と 見て、この グループに いれて おきました。

 *ここ でも、語根の m音が 派生語では 脱落したり、n音に 変化したり する 傾向が見られます。

dem-(house, household家事) domeドーム, domestic家庭の, danger危険. domain領地, dominate支配する, timber立ち木

  *語根 dem- 基本義が「house, household」と 解説されて いますが、むしろ 語根deme-(to constrain, force)tem-(to cut)との 関連で 解釈した ほうが 分かりやすいかも しれません。

 *タマ[玉・球・弾] 姿を した 丸屋根 家が ドーム。いいかえれば、トンガリ 帽子の 姿。その 頂点から 重力が 四方八方に 垂れさがる 姿。この 姿で 土地を 支配する ことが dominate。支配される 領地が domain。この 重力分散の 構造が ダメに なる 危険性がdangerでしょう か? 

ここでdamdamageとの 関係が 気に なります が、辞典 では IE語根と 派生語」の リストには のって いません。damは、OE dam damageは、<MEOF dam loss L damnum されて います。いずれに しても、ダムdam タメ池で あり、水を タメル[矯・溜] 装置(土手・土堤) ダメに なれば、たいへんな damage もたらす ことに なります。 

deme-(to constrain強制する, force強制する) tame飼いならす, dauntおどす, diamondダイヤモンド.  

*タメル[] 姿.強制力を 持つ。 ⇔タム[]

tem-(to cut切る) tome一冊, anatomy解剖学, atom原子, temple1寺院, contemplate見通す.   

この 語根の 基本義はto cut 解説されて いますが、t-m 日本語の タム・ツム・トム などと 音義とも ちかい 語音 です。⇔タム[矯・溜]ツム[摘・抓・詰・集・積・紡錘]・ツムリ[]・ツムガリ(の大刀)トム[止・富・尋]

 生物を ツミ[摘・抓]とり、その 生理を ツキトメル[止・尋](探究) 学問がanatomy解剖学。

 ゴロゴロ・ゴツゴツした 素材を タム[矯・溜]・ツム[摘・抓・詰・集・積]した 結果がtome一冊。

 *モノを 分子の 段階から さらに こまかく キリツメタ 結果がatom原子。タマ[玉・珠・球・弾]型の 超微粒子で、ころがり(移動し)  やすい。

 *タマ ような 丸屋根 もつ 寺院がtemple

 *モノゴトの状況を ミツメ、原因を ツキトメ、経過を ツマビラカにし、将来を 見とおして、タマ[玉・珠・球・弾] ような 結論を ツムギダス 姿が contemplate

 

t-n音と t-r音の 関係
さて、宿題の「t-n音と t-r音の 関係」に ついては、前号で 指摘した とおりで、そのごあらたな 発見は ありません。

日本語のn, r音に ついては、「ツヌガ・敦賀・ツルガ」や「イナニ・稲荷・イナリ」などの 表記法の 事例 から、「n から r音への 子音交替」が あったと 推論しました。ただし、この種の 事例が もっと たくさん ありそうな のですが、いまの ところ まだ 見つかって いません。しいて いえば、富山県立山町に リタ[利田] という 地名が あります。常願寺川の 流域 なので、もと ニタ[仁田・丹田](ニタニタ・ネトネトした 湿田) からの 子音交替 かと 推定して いますが、まだ 断定は できません。

漢語に ついては、ブログt-n音の漢語③」(5月11日号)で ご紹介した とおりで、資料も 十分 そろって います。

英語に ついては、前号tuna(マグロ) trout(マス[])に あわせてtun(タル[]) をとりあげ、「英語音としてtun tunaとの 関係」、「tunatroutとの漢英」、さらには「日本語タル[] 漢語ソン[樽・鱒] 英語tun(タル[]tuna(マグロ)との 関係」などの問題に ついて 考えて きました。

日漢英の tr 比較という 点では、2013101から 3 わたって ブログ とりあげ、それぞれの 言語内での 基本義を 追求すると ともに、民族言語の ワクを こえる 共通基本義 ついても サグリを いれて きました。たとえば 10/22Teleは、デル[]姿」では、まずdrip(シタタル)drop(シタタリ)television(テレビ)などのt-r(l)音がデル[]・テル[]姿で ある ことを 指摘した あと、日本語 デル[]・テル[]・テラ[]・テラス[]などと 漢語terdi//  derdi//英語terrace(テラス。露台) などの t-r(l)音との あいだに 共通基本義が 見られる ことを 指摘しました。

 

おしらせ
まだまだ 不十分 ながら、日漢英の t-n 比較は これで いちおう うちきらせて いただきます。

次回は「アユの風」を とりあげる 予定です。
いっぱんに「アユの風」は 風位名 されて いる ようです が、それでは ナゼ どうしてアユが 風位名と された のか?アユ いう 語音 こだわって、その 背景 経過 さぐります。
 


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