2013年3月9日土曜日

コクものがコク[穀]物

ネオ・漢字ものがたり①

 
 
「カード64k-k
ウインドウズ8試運転中 
先日からパソコンの調子がよくないので、交換することにしました。ウインドウズ7から8へ交換したのですが、そのあとが大変でした。
もとのパソコンにはいっていたデータをあたらしいパソコンに移したのですが、わたしのうっかりミスで、ブログ下書き用のワード文書が消えてしまいました。わたしはいつもまずワードで原稿をつくり、それをコピーする要領でブログをつくっています。自分では、このワード文書が完全に「保存」できていると思いこんでいたのですが、じっさいはその手続きが済んでいなかったわけです。地震かツナミにあったようなショックですが、身から出たサビ。だれをうらむこともできません。一から出直しです。
キカイが変わると、キカイの使い方も変わってきます。やっとすこしだけウインドウズ7の使い方になれてきたところで、こんどはウインドウズ8へ切りかえ。93歳老人があたらしいキカイになれるまで、キビシイ日がつづきそうです。
 
「ネオ・漢字ものがたり」の構想
さて、本題にもどりましょう。
北日本新聞紙上で毎回小山哲郎さんの「漢字物語」を読ませていただいているうちに、こんどは小山さんにならって、わたしなりの「ネオ・漢字ものがたり」を書いてみたいと思うようになりました。わたしなりのというのは、こういうことです。
「漢字物語」では、漢字の字形を中心に「字形意味とのつながり」や「字形同士のつながり」について考えるシクミになっています。
もともと文字はコトバを書きしるすための記号ですから、まずは「その字形からすぐにその事物を連想できること」が求められます。その点は、漢字でもエジプト文字でもおなじことです。漢字の場合、とりあえずニチ[]・ゲツ[]・サン[]・スイ[]などの象形文字がつくられ、また[](戈+止)・シン[](人+言)などの会意文字などもつくられました。このへんまでは、視覚第一、象形中心の表音文字でした。
しかし、時代が変わり語彙数がふえるにつれて、それに見あうだけの漢字をつくることが困難になります。そこで考案されたのが、形声文字方式です。たとえばコウ[](水+音符工)・カ[](水+音符可)など。字形の一部がそのコトバの音形を表わし、他の一部がそのコトバの分類(所属)を表わします。この形声文字方式を採用することで、比較的簡単にたくさんの漢字をつくり、漢語の語彙をゆたかにすることに役立ちました。
この形声文字は、象形文字からはじまった漢字がやがて表音文字へと変身しようとした第一歩だと、わたしは考えています。そんな視点から、「コトバの音形と文字の字形との関係」にこだわりながら「ネオ・漢字ものがたり」を書いてみたいと思っています。
 
オト(発音)が意味を表わす
形声文字のコウ[]やカ[]の字形にふくまれる音符について、「工や可は、発音を表わすだけで、意味とは関係がない」という人がいますが、正確な議論とはいえません。むしろ、とんでもないマチガイだというべきです。すくなくともハナシコトバの世界では、コトバはオト(発音)だけがたよりです。もちろん音声信号と事物(の姿)が1対1の対応関係をもつようにするのは無理ですが、どの民族言語も「音声による象形」にくふうをこらしました。その結果、「コトバの意味オト(とりわけ子音)できまる」ことになったのです。サンズイ偏とか木偏とかいうのは、音符が表わす意味の分類(所属)を表わすだけです。
 
コクものがコク[]
総論ばかり議論していても、ちっとも面白くないといわれそうなので、このへんで各論にはいります。
あれこれ考えたすえ、k-kタイプの形声文字からはじめることにしました。k-は「50音図」でも,子音として最初に配列されるカ行子音k-k音タイプの語は、k-子音だけが2回くりかえされるために、k-子音がもつ基本義が強調されると考えられます。
さて、画像(「カード64k-k)をごらんください(イラストは梶川之男さん)。みじかい文句に,日漢英のk-k音語をつめこんでみました。
ここでは、まず形声文字コク[]の話からはじめましょう。コク[]は、「禾(穀物)+音符[穀-禾](かたいカラ)」の会意兼形声文字。かたいカラカコまれたコクモツ[穀物]の実のことです。現代漢語(普通話)では、[穀物]のかわりに[谷物]と書きます。日本人の感覚では、コク[]コク[]はまったく関係のない別語ですが、漢語としてはもともと同音同義のコトバでしたから、[谷物]と書いてなんの抵抗も感じないというわけです。そういわれてみると、コク[]も「両側をかたい岩盤でカコマレ、シゴカレル」姿です。ヤマトコトバでも、イネやムギを脱穀する作業を「コク[]・シゴク[]」といいます。また脱糞するのも、「クソをコク」といいます。
 
Kickすると、キク[聞・利]
人間の耳の奥のほうに鼓膜があって、まわりの音をキキとるようになっています。眠っているときなどはキコエにくいかもしれませんが、だれかに耳もとをkickされたとしら、どうなるでしょうか?「よくキク[利・効]」「よくキコエル[]」どころではありません。鼓膜がやぶれてギクッ・ギックリということになるでしょう。
キク音の漢語・漢字といえば、音符キク[](スクウ・カコム)をもつ会意兼形声文字キク[菊・掬・鞠・麹]などがあります。キク[]は、花びらがバラバラにならないようにカコマレタ姿。キク[]は、こぼれないようにカゴ型の道具でスクウ姿。キク[]は、ギュウギュウづめにしてカコミこんだマリ。Kick用のケマリ[蹴鞠]キク[](こうじ)も、「麥+音符キク[]」の会意兼形声文字。ふかした麥や豆をカゴ・カコミの中で発酵させる姿と考えられます。
 
おわび おねがい
「ネオ・漢字ものがたり」第1回、もうすこしカッコよくスタートしたかったのですが、あいにくパソコン交換とかさなって、ドタバタ劇になってしまいました。これがわたしの実力です。おゆるしください。
k-k音タイプの漢語・漢字はまだまだありますが、きょうはここまでということで、こんごとも よろしく おねがいします。
 

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