2014年12月9日火曜日

カム[神]は、カイガラが ミ[身]を カム[噛] 姿


『古事記』解釈の キーワード⑩

 
 

-m音の コトバ
 
 
-p音の コトバ 
 
 
 

画像に ついて
カード64」の 中から 引用しました。イラストの 切り絵は、梶川 之男 さんの 作品です。

 
「カムナビ山」論議の まえに
10月の 日本海悠学会 研修会で 藤田富士夫さんが 「古代の神奈備山を探る視点」と 題して 講演された ことは、ブログ「いたち川散歩」(11/6)で ご紹介 しました。藤田さんはカムナビ[神奈備]を「神の []=神の イマス[] ところ」と 解釈した うえで、その呼び名に ふさわしい 条件を 設定し、自分の 足で 現地を まわり、自分の 目で 「カムナビ山」の 所在を たしかめようと されました。その 姿勢に、脱帽して います。

しかし、せっかく「カムナビ山」に ついて 考えると すれば、やはり まず 第一に「カム[]」という コトバの 意味・用法 確認して おく ことが 必要かと 思います。

日本語の「カム[]」とは ナニモノか?日本人に とって、どんな 存在だった のか?なぜ、カム という 語音で よばれる ことに なった のか?同音の 日本語 カム・カミとの 関係は?漢語や 英語 k-m音との 関係は?

 

『古事記』の中のk-m音語
『古事記』に でて くる k-m音語を ざっと ひろって みます。

カマ[鎌・竈・蒲] // カマフ[蒲生] //  カミ[上・髪・醸・神・祇] //  カムホグ[神寿] // 

カムヤマトイハレビコ[倭伊波禮毘古] //  カムヤラヒ[神遣] // カメ[] //  カモ[]

キマス[來・到・服・赴] //  キミ[君・王] //  キモ[] //  キモノ[衣服]

クマ[熊・隈] //  クマノ[熊野] //  クム[組・酌] //  クメ[久米] //  クモ[]

コマ[] //  コム(子産)//  コムハチニカニキム[波鎮漢紀武] //  コモ[海蓴・薦] //  コモル[]

*『記』では、カムカラ・カムサブ・カムシム(=カムサブ)・カムナガラ・カムナビ・カメ[]・クモ[蜘蛛] などの 用例が 見あたり ませんが、『萬』には、いずれも 用例が あります。カムガフ[] ・カモ[] などは 『記』・『萬』ともに 用例が ない よう です。

*コムハチニカニキム[波鎮漢紀武] ヤマトコトバでは なく、シラギ[新良] コニキシ[国主] からの 使者の ナマエ。ここでは、使者の 姓を コム[]と表記して いる点が 参考に なります。

 

k-m音語の 共通基本義
ここで あらためて k-m 日本語の 共通基本義を さぐる ことに します。

k-m音語の 意味は、k-音と m-音が もつ 意味の 総合」ですが、ここで k-音と m-音の基本義に ついて オサライして いる 時間が ありません。いきなり ですが、まず イズミの 結論(仮説) 提案して、議論の たたき台に して いただけたらと 願って います。

    K-m音語は カム・クム・コム など いろいろな 音形の コトバに 分かれるが、k-m音を 共有する ことに よって、基本義を 共有し、単語家族を 形成する。k-m音語 同士の 意味の チガイは ニュアンスの チガイ。大同の 中の 小異に とどまる。

    カム[噛・神]は、カイガラが  [] カム[] 姿。視点を かえれば、貝(の身)が カイガラに カミつき、食いこみ、その 中に コモル姿 でも ある。カミ[噛・髪・上・守](ミは 甲類 カナ)は、上・外から カミつく 姿。カミ[] (ミは 乙類 カナ)は、カミつかれる 姿。中に コモル 姿。 

    クム[] とは、A Bとを クミアワセル ことで、AB単独では できない こともできる ように なる。たとえば 水を 飲みたい とき、5本の 指を ばらばらに した ままでは 水を クム ことが できない。5本の 指を クミアワセル、さらには 左右の テノヒラを クミアワセル ことに よって、より 効率 よく 水を クム[] ことが できる。

    コム[子産]は、「子を 産む」姿 でも あり、「子が 産まれる」姿 でも ある。さらには、「子を ウム[]」つまり「妊娠する」の 意味を 表わすと 解釈する ことも できる。

 

カミ[噛・神] カヒ[貝・峡]との 関係
先日の 「カムナビ[神奈備] 論議」の あと、ない チエを しぼって、あれこれ 考えて みました。そこで あらためて 気がついた ことを もとに、わたしなりの 新解釈 (仮説) 提案 いたします。

これまでの「常識」と かけはなれた 解釈 なので、いろいろ ご批判 いただく ことに なる かも しれませんが、日本語 (ヤマトコトバ) 本来の 姿を さぐる ための 提案 です。

<仮説>
k-m音語 カム・カミと k-p音語 カフ・カヒは、相互に 交替関係に ある。

<証明>
カムと カフの チガイは、子音 m- f-との チガイ だけ である。さらに、m- 音と b-, p-, f- とは ともに クチビルの 音で あり、しばしば 交替する。たとえば;

カマ[鎌・釜]=草や 柴などに カミつく、カブリつく、クヒつく もの。⇔カハ[河・川・皮・革]

(カマボコの)カマ[]=(カバヤキの)カバ[]

カミ[]=頭にカミつく、カブリつくもの。⇔カビ[]

カミ[]ヒトにカミつく、カブリつく、カフ[飼・養・代・替]もの。⇔カヒ[貝・峡・代・替]

カメ[]=飲食物をカム・コム、コメル、カフ[飼・養]もの。

カハ[河・川・皮・革]=本体(大地や肉体) カブリつく、カミつく もの。

カヒ[貝・峡]=カイガラの中にカヒ[]の身をカフ[飼・養]、カミコム姿=山と山とのカヒ[]にカハ[]をカフ[飼・養]、カミコム姿。⇔カミ[]

その他、キミ[君・王] キビ[] なども m-, b- 子音交替の 例と 考えられる。

 

k-m 漢語・英語との 対応関係
ヤマトコトバ だけで なく、漢語や 英語に おいても、k-m音語が 一定の 語彙を 組織し、それなりの 役割を はたして います。また、すこし 気を つけて 観察 すれば、3民族言語の ワクを こえて、m-k音と いう 音形の 共通性に 対応して、意味・用法の 面でも 共通性が 見えて きます。

k-m音の 漢語
  ① カム[甘・柑・鉗](中に入れて、カム姿)
  ② キム・コム[今・金・衿・衾・禁] (中に入れて、トジコメル姿。また、トジコモル姿)

k-m音の 英語
comb, come來る, combination組みあわせ, company会社, gameゲーム, などの語音には、カム・カミツク・クム・クミアワセル などの 姿が つきまとい ます。漢語 よりも 英語の ほうが 日本語の 音韻感覚に ちかい のでは 感じられる ことも あります。

日漢英の k-m音語 比較に ついては、この ブログ でも 数回に わたって とりあげて きました。くわしくは、次項の 関係記事を ご参照 くださる よう お願い いたします。

 

ブログの 参考記事
2013.1.15. 「カム・クム 姿」…漢字音 キム・コム[今・金・衿・衾・禁]…カム[甘・柑・鉗]

2013.2.1.  k-m音の 日本語」…カム ものが カマ…カム ことが カミ…カミ[] カミ[] チガイ…甲乙 カナヅカイ説への 疑問…クム姿、コム姿。

2013.2.9. k-m音の 英語」comeは、カム[噛・咬] 姿…gameは、カミ[噛・咬] あう 姿…companyは、クミ[] あう 仲間。

2013.2.19. 「日漢 k-m音の カミあわせ」…「漢字物語」を 読む…ガン・カム[]は、口に モノを 含ませて フタを する 姿…字形・音形と 意味の 関係…キム[]・コム[込・篭] 姿…常識が 変わる とき。

2014.11.10. 「再論、k-m音語の 基本義」k-m 論議の 視点…21世紀 日本語の 音韻感覚。 

 

<追記>
カムカラ・カムナガラ・カムナビ などの カム・カミの 実態に ついて、「カミ[]=カヒ[] する 解釈を こころみ ました。まだまだ 舌足らずの まま ですが、とりあえず 公開して、ご教示を お待ちする ことに します。

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