…t-n音の英語①…
tuna(マグロ)
trout(マス[鱒])
画像について
わたしは 絵ごころが とぼしい ので、毎回 ブログの 画像を 準備する のに 苦労して います。今回は、t-n音 英語 tuna(マグロ)と 漢語 ソン鱒zunとの 音韻比較資料 として、『ランダムハウス 英和大辞典』(小学館)から tuna(マグロ) と trout(マス[鱒])の イラストを 借用させて いただきました。 あわせて、t-r音 日本語 タル[樽]と t-r音 英語trout(鱒)、あるいは t-n音 英語 tun(タル[樽])との 音韻比較資料 としても 役立つか と思います。
デーン
と デル・テル
姿が ダンディ
日本語で「ダテ[伊達]男」という コトバが あります。この ダテは、もともと タツ[立・断・竜]・タテ[立・縦・楯] などと 同系で、「立ち姿」から「立ち姿が
美しい」、「目立ちたがり」などの 意味を 表わす ように なりました。
この「ダテ[伊達]男」に あたる 英語が dandyかと 思います。タツ・タテ・ダテは t-t音タイプ、dandyは t-n音タイプの 語という 区別は ありますが、いずれも t-子音で はじまって いる 点は 共通です。
T-, d-音には、タツ・ツク・テル・デル などの 基本義が つきまといます。Dandyの ばあいは、d-n音の あとに もういちど d-子音が つづきます。それだけ d, t音の 基本義が 強調されて いると 思われます。
つまり、ツノ・ツナの ように、 デーンと デル・テル姿=ダンディ=ダテ[伊達]男」と 考えて よい でしょう。
tuna(マグロ)は、食料として頼りのツナ[綱]
tunaは、マグロの こと。「ツナ缶」という ナマエで、日本語の
なかに
かなり
しっかりシミコミ、定着して
きている
ようです。ただ、日本語で
ツナ
と
いえば、「ツナで
ツナグ」の
ツナ
ぐらい
しか
ありません。
英語のtunaと 日本語の ツナとの あいだを ツナグ
語音資料は
ない
ものかと
さがしてみました。そして 漢語音 ソン鱒zunを 見つけました。
ソン鱒zunは、ソンtsuen樽zunや スンts’uen寸cunと 同系の コトバ。くわしくは、「尊は ツノダルの姿…t-n音の 漢語](4月30日号)を ご参照 ください。
漢語では、「尊重すべき 魚」という 感覚で、マス[鱒]を
ソン鱒zunとよぶ ことに なりました。英語で、マグロを tunaと よぶ ように なった のも、それと おなじような 音韻感覚 からと 考えられます。
マスは 河で とれる 魚、マグロは 海で とれる 魚 という チガイは ありますが、ともに大型で
美味。食料資源
として
頼りの ツナ[綱]と 尊重される 存在です。
Tun, tunnelは、タル[樽]の姿
Tunに ついて 英和辞典を 見ると「①タル[樽]。とりわけ ブドウ酒・ビール などを いれる 大樽。②大樽に いれる(たくわえて
おく)」と
解説して
います。またtunnelトンネルに ついても、tun(タル[樽])との 関係が 指摘されて います。そう いわれて みると、トンネルが 「巨大な タル[樽]」の姿に 見えない とも いえません。
Tun=タル[樽] だと すれば、英語 tunの 語尾 -n子音が -r子音に 変化した 形が 日本語の タル[樽・垂・足]やツル[蔓・弦・吊] だと 解釈する ことも できそう です。日本語で 語尾子音 -nが -rに 変化した 例としては、「イナニ=稲荷=イナリ」、「ツヌガ=敦賀=ツルガ」などが あります。
「単なる
妄想」か、「世紀の大発見」か?
ここ まで、思いつく ままに t-n音語に ついて 議論して きました。そして、「日漢英のt-n音語は 共通の 基本義を もって いる」と 主張して きました。
「そんなの、ただの
妄想」、「誤解と
偏見に
もとづく
独断論」などと
おしかりを
うける
かも
しれません。しかし、そんな
ふうに
一刀両断に
切りふせて
すむ
問題で
しょうか?
学問研究の 世界 では、当然の こと として 客観的・合理的な
議論が
もとめられます。
その点で、21世紀の 科学技術は きわめて 高い 水準に 達して いる わけ ですが、それは ここまで 来る 途中で、たくさんの 発見や 発明が あった おかげです。そして
それらの
発見・発明の
かげで、無数の
妄想家(?)たちが
ムダな
実験を
くりかえして
きた
ことも
事実です。
コトバの 研究に かんして いえば、いま でも「日本語や 漢語」と「英語 など インド・ヨーロッパ語」との
関係が
あきらかに
なって
いません。インド語(サンスクリット
など)と
ヨーロッパ語
との
関係が
あきらかに
され、まとめて「インド・ヨーロッパ語」と
呼ばれる
ように
なった
のは、わずか
200年 ほど まえの ことと されて います。
いまの 日本では、語法・文法面に おける「日本語と
外国語との
比較研究」は
花ざかりの
よう
ですが、音韻面 からの 比較研究は ほとんど ゼロの よう です。
「小学校 からの 英語学習」が もう はじまって います。日本語 でも 英語 でも、コトバの 習得の カナメは、なんと して でも その 言語の 音韻感覚を つかみとる こと です。
いまに なって まだ 「日本語と 外国語の 音韻比較」が できて いない という ことは、客観的・合理的・効果的な 言語学習指導法が 準備できて いないということです。この
問題は
国や
地方自治体が
責任を
とるべき
問題だと
いわれる
かも
しれませんが、日本語・外国語を
問わず、コトバの
研究者たちが
積極的に
協力すべき
では
ない
でしょうか?
おわび
ついつい 脱線して しまい ました。すみません。この
あと、「t-n音、インド・ヨーロッパ語根と その 派生語」を ご紹介する 予定 でしたが、次回に
まわします。次回は、英語の「t-n音と t-r音」および「t-n音と t-m音」の 関係に ついても とリあげる 予定です。